【徹底比較】スマートライフプランと電化上手はどっちがお得!?

東京電力エリアでエコキュートや電気温水器を長年利用しているご家庭の多くが、2016年3月末で新規加入を停止した「電化上手」プランを継続利用されています。しかし、近年の電気料金高騰を受け、「電化上手より安いプランがあるのでは?」「このまま継続して本当に得なのか?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、「電化上手」がすべての人にとって割高になったわけではありませんが、多くのご家庭(特に日中の在宅時間が長い方)にとっては、現行プランへ見直した方が電気代を削減できる可能性が高まっています。
ただし、プラン変更には「電化上手に二度と戻れない」という重大なリスクが伴います。安易なシミュレーションだけを信じて切り替えると、かえって電気代が上がるケースも存在します。
この記事では、「電化上手より安いプラン」を探している方に向けて、以下の3つの要点を中心に、プラン見直しの判断基準と注意点を専門家の視点で徹底解説します。
- 「電化上手」が割高になった3つの理由(日中単価とライフスタイルの変化)
- TEPCO現行プラン(スマートライフプラン等)や新電力との料金比較
- プラン変更で失敗しないための必須確認事項(時間帯別使用量の把握)
ご自身のライフスタイルと照らし合わせ、最適なプラン選択の一助としてください。
目次
「電化上手」はなぜ高い? 構造的な弱点と高騰の理由
「電化上手」は、夜間(23時~翌7時)の電力量料金単価が極端に安く設定されている一方、日中(特に夏季の10時~17時)の単価が非常に高いという、メリハリの効いたプランです。まずは、このプランがなぜ「高い」と言われるようになったのか、その構造を再確認します。
「電化上手」が割高になった、あるいはそのように感じられるようになった主な理由は3つあります。
- 燃料費調整額の歴史的な高騰 これは「電化上手」に限らず全ての電気料金プランに共通する問題ですが、電気代の総額を押し上げる最大の要因です。燃料費調整額は使用量(kWh)に応じて加算されるため、総額を見て「電化上手が高い」と錯覚するケースがあります。
- 日中単価(特に夏季)が極めて高い 電化上手の最大の弱点は、日中の電力量料金です。特に夏季(7月~9月)の10時~17時は、他のプランと比較しても突出して高い単価が設定されています。
- ライフスタイルの変化による「日中消費」の増加 2016年の新規加入停止以降、在宅ワークの普及、ペットや高齢者のためのエアコン常時稼働など、家庭での日中の電力消費が増加したご家庭も多いでしょう。深夜のメリット以上に、日中のデメリット(高い単価)が上回った場合、電化上手は割高になります。
【参考:「電化上手」の電力量料金単価(東京電力)】
| 時間帯 | 季節 | 料金単価(1kWhあたり・税込) |
|---|---|---|
| 昼間 | 夏季 (7/1~9/30)
10時~17時 |
48円99銭 |
| 昼間 | その他季 (10/1~6/30)
10時~17時 |
40円51銭 |
| 朝晩 | 通年
7時~10時, 17時~23時 |
33円71銭 |
| 夜間 | 通年
23時~翌7時 |
16円10銭 |
まとめると、「電化上手」はもともと日中単価が高いという弱点がありましたが、燃料費高騰とライフスタイルの変化により、その弱点が家計に直結しやすくなったことが「高い」と感じる主な原因です。
「電化上手より安いプラン」は存在する?代替候補を徹底比較
「電化上手」から乗り換える場合、どのようなプランが「より安い」候補となるのでしょうか。最大の注意点は、一度「電化上手」を解約すると、二度と同じプランに戻ることはできないという点です。このリスクを理解した上で、代替プランを比較検討する必要があります。
主な乗り換え先は、東京電力エナジーパートナー(TEPCO)の現行プランか、新電力のプランの2択となります。
代替候補1:TEPCO「スマートライフプラン」
「スマートライフプラン」は、現在のTEPCOにおける標準的なオール電化向けプランです。「電化上手」の後継プランとも言えます。
【「電化上手」 vs 「スマートライフプラン」単価比較(税込)】
| プラン | 時間帯 | 料金単価(1kWhあたり) |
|---|---|---|
| 電化上手
(旧プラン) |
昼間・夏季 (10-17時) | 48円99銭(非常に高い) |
| 朝晩 (7-10時, 17-23時) | 33円71銭 | |
| 夜間 (23-7時) | 16円10銭(非常に安い) | |
| スマートライフプラン
(現行プラン) |
昼間 (6-25時) | 35円96銭(安い) |
| 夜間 (1-6時) | 28円06銭(高い) |
比較すると、以下のトレードオフ(一長一短)が明確になります。
- スマートライフプランの強み: 「電化上手」の弱点であった日中(朝晩含む)の単価が、一律35円96銭と大幅に安くなります。
- スマートライフプランの弱み: 「電化上手」の強みであった夜間単価が、16円10銭→28円06銭へと大幅に上がります。さらに夜間時間帯も8時間→5時間と短縮されます。
(編集部見解) 日中の在宅時間が長く、電力消費が多いご家庭(在宅ワーク等)は、「スマートライフプラン」に切り替えることで電気代が安くなる可能性が高いです。 一方で、エコキュートの湯沸かし(深夜電力)が電力消費の大半を占め、日中はほぼ不在というご家庭は、「電化上手」を継続した方が得なケースも残っています。
代替候補2:新電力のプラン(市場連動型・独自プラン)
新電力(TEPCO以外の小売電気事業者)も多くのプランを提供しています。「電化上手より安いプラン」として打ち出されることもありますが、注意が必要です。
- メリット: 基本料金0円プラン、ガスとのセット割引、ポイント還元など、独自の特典が魅力です。
- デメリット (注意点): 1. 市場連動型プランのリスク: 卸電力取引市場(JEPX)の価格に連動して30分ごとに単価が変わるプランがあります。市場が高騰すると、電気代が青天井になるリスクを伴います。 2. 深夜電力の定義: 新電力の「夜間」が、エコキュートの湯沸かし時間帯(例:23時~7時)と一致しているか、単価はいくらかを詳細に確認する必要があります。
まとめると、「電化上手より安いプラン」は存在しますが、それは「日中単価」を安くする代わりに「深夜単価」が上がることを受け入れるトレードオフがほとんどです。ご自身の電力使用パターン(どの時間帯にどれだけ使っているか)の把握が不可欠です。
プラン変更で失敗しないために。シミュレーションの落とし穴
「電化上手より安いプラン」を探す際、TEPCOや新電力が提供するWeb上の料金シミュレーションを利用する方が多いでしょう。しかし、このシミュレーションには大きな落とし穴があります。
プラン変更で失敗しない(=乗り換えたら逆に高くなった、とならない)ために、以下の2点を必ず実行してください。
1. 「時間帯別」の正確な使用量を把握する
シミュレーションの多くは、月間の「総使用量」を入力する簡易的なものです。しかし、「電化上手」の見直しで重要なのは「総使用量」ではなく、**「どの時間帯に(日中/朝晩/夜間)」「どれだけ使っているか」**という内訳です。
例えば、同じ月間500kWhでも、以下では選ぶべきプランが真逆になります。
- Aさん (500kWh): 日中100kWh / 朝晩100kWh / 夜間300kWh → 夜間単価が安い「電化上手」が有利な可能性
- Bさん (500kWh): 日中250kWh / 朝晩150kWh / 夜間100kWh → 日中単価が安い「スマートライフプラン」等が有利な可能性
ご自身の正確な時間帯別使用量は、TEPCOの会員向けWebサービス「くらしTEPCO web」で確認できます(スマートメーター設置済みの場合)。検針票の「総使用量」だけで判断するのは非常に危険です。
2. エコキュートの「湯沸かし時間」を再確認する
エコキュートは、電気代が安い深夜電力(電化上手では23時~7時)を利用して湯を沸かします。 もし乗り換え先の「スマートライフプラン」に変更した場合、安い夜間時間帯は「1時~6時」の5時間に短縮されます。
ご自宅のエコキュートが、この5時間以内に湯沸かしを完了できる設定になっているか、あるいは設定変更が可能かを確認する必要があります。もし湯沸かしが6時以降(昼間単価)にはみ出してしまうと、エコキュートのランニングコストが想定外に跳ね上がる可能性があります。
まとめると、プラン変更の判断は、Webシミュレーションの結果を鵜呑みにせず、必ず「くらしTEPCO web」でご自身の正確な30分ごとの電力使用状況をグラフで確認してから行うべきです。
「くらしTEPCO web」のデータを見ても判断が難しい、どのプランが最適か自信が持てない場合は、契約前に中立的な専門家の診断 を受けることをお勧めします。 ※「電化上手」に戻れないというリスクを回避するため、慎重な検証が必要です。
プラン変更は「対症療法」。電気代高騰の根本対策とは
ここまで「電化上手より安いプラン」への乗り換えを解説してきましたが、これはあくまで「支出先の最適化」であり、電気代高騰問題の「対症療法」に過ぎません。
根本的な対策(根本療法)は、電力会社から電気を買う量(kWh)そのものを減らすことです。特にオール電化家庭において、プラン変更と同時に検討すべき根本対策は以下の3つです。
対策1:太陽光発電の導入
「電化上手」の最大の弱点であった「日中単価の高さ」を根本的に解決するのが太陽光発電です。日中に発電した電気を自家消費することで、電力会社から高い日中の電気を買う必要がなくなります。
対策2:家庭用蓄電池の導入
蓄電池を導入すると、2つの選択肢が生まれます。
- (電化上手継続の場合)単価が安い深夜電力(16.10円/kWh)を蓄電池に貯め、単価が高い日中(48.99円/kWh)に使うことで、差額分の電気代を削減できます。
- (太陽光と併用の場合)太陽光で発電した電気を蓄電池に貯め、夜間に使うことで、電力会社から電気を買う量を極限まで減らせます(自家消費率の最大化)。
対策3:高効率エコキュートへの交換
10年以上前のエコキュートを使用している場合、最新の高効率機種に交換するだけで、湯沸かしに必要な消費電力量(kWh)自体を削減できる可能性があります。プラン変更で深夜単価が上がったとしても、消費量が減れば影響を緩和できます。
まとめると、電気料金プランの見直しは重要な第一歩ですが、それだけでは将来のさらなる電気代高騰リスクに対応しきれません。太陽光発電や蓄電池による「自家発電・自家消費」を組み合わせることが、長期的な電気代対策の最適解となります。
「電化上手より安いプラン」に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 「電化上手」より確実に安いプランはありますか?
「確実に安い」プランは存在しません。安くなるかどうかは、ご家庭の電力使用パターン(特に時間帯別の使用割合)に依存します。
「電化上手」は深夜単価が極端に安いため、電気の使用がほぼエコキュートの湯沸かしのみ(日中は不在)というご家庭では、現行のどのプランより有利な場合があります。一方で、日中の在宅時間が長く、エアコンや家電の使用が多いご家庭は、「スマートライフプラン」などの日中単価が安いプランに切り替えた方が安くなる可能性が高いです。
※「くらしTEPCO web」などで時間帯別の使用量を確認し、慎重にシミュレーションする必要があります。
Q2. TEPCO「スマートライフプラン」との違いは?
最大の違いは「料金単価と時間帯」です。
- 電化上手(旧): 夜間(23-7時/8時間)が激安。日中(特に夏)が割高。メリハリ型。
- スマートライフ(現): 夜間(1-6時/5時間)が安い(電化上手ほどではない)。日中(6-25時)は一律で電化上手より安い。フラット型。
日中の在宅時間が長い(電力消費が多い)家庭はスマートライフプランが有利になりやすく、日中ほぼ不在で深夜電力(エコキュート)消費が大半の家庭は電化上手が有利な傾向があります。
Q3. プラン変更したら「電化上手」に戻せますか?
いいえ、二度と戻すことはできません。
「電化上手」は2016年3月末で新規加入受付を終了しています。したがって、一度でも「電化上手」を解約し、他のプラン(スマートライフプランや新電力プラン)に切り替えると、将来「やはり電化上手の方が安かった」と後悔しても、元に戻すことは不可能です。この点が、プラン見直しにおける最大のリスクとなります。
Q4. 新電力に切り替えるリスクや注意点は?
新電力への切り替えには、主に2つの注意点があります。
- 市場連動型プランのリスク: 卸電力市場(JEPX)の価格に連動して料金単価が決まるプランの場合、市場価格が高騰した際に電気代が予測不能なレベルまで上昇するリスクがあります。
- 倒産・撤退のリスク: 近年の燃料費高騰により、新電力会社の倒産や事業撤退が相次ぎました。その場合、最終的にTEPCOのプラン(経過措置プラン等)に戻ることになりますが、一時的に手続きの混乱が生じる可能性があります。
※新電力と契約する際は、料金体系(市場連動型でないか)や、契約期間、解約違約金の有無をよく確認してください。
Q5. 太陽光発電がある場合、電化上手は不利?
不利になる可能性が高いです。「電化上手」は日中単価が非常に高いため、太陽光発電で日中の高い電気を買わずに済むメリットは大きいです。
しかし、太陽光発電(売電)を行っている場合、FIT(固定価格買取制度)期間中か、卒FIT後かによって最適なプランは異なります。特に卒FIT後は、売電単価が大幅に下がるため、「電化上手」の安い深夜電力を活用して蓄電池に貯め、日中に使う方が経済的メリットが大きくなるケースもあります。
※太陽光発電・蓄電池を導入している(または検討中)の場合、プラン選定はさらに複雑になります。設備導入と合わせて専門家に相談することをお勧めします。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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