パナソニックのV2H「eneplat」の8つの特徴を解説します!
V2Hは「Vehicle to Home」の略で、EV(電気自動車)の大容量バッテリーを家庭の蓄電池として活用する仕組みです。
各社ともV2Hの開発に力を入れていますが、今回はパナソニックのV2Hである「eneplat」をとりあげます。
eneplatは太陽光発電の電力を有効活用したり、直流電流をそのまま充電できるなど、数々の特徴があります。
今回はeneplatの8つの特徴とV2H導入時の注意点について解説します。
目次
パナソニックのV2H蓄電システム「eneplat」とは?
eneplatはV2H蓄電システムです。
EVと太陽光発電、蓄電池、HEMSを連携させて電気の見える化や電力使用効率の最適化を達成でき、住宅全体の電気消費量を抑えられる仕組みです。
eneplatの8つの特徴
eneplatには8つの優れた特徴があります。
それぞれの内容について詳しく紹介します。
太陽光発電で生み出した電力を有効活用できる
太陽光発電が普及し始めたころ、そのメリットとして取り上げられていたのが売電収入を得られることでした。
2012年度の10kW未満の電力買取価格は1kWあたり42円でしたが、2022年度は17円と半分以下にまで下落してしまいました。
そのため、近年は売電よりも自家消費を重視するユーザーが増えています。
蓄電池やEVがあれば発電で生み出した電力をためておき、夜間に使うことができます。
発電量によっては、終日、自家発電で家庭の電力需要をまかなうことができ、電力会社への依存を減らせます。
太陽光で作る直流の電気をそのまま充電できる
電力には直流電流と交流電流の2種類があります。
太陽光発電で生み出す電力は直流、家庭で使用する電力は交流、EVの電力は直流です。
これまでの一般的なV2Hシステムでは、直流電流をパワーコンディショナーで交流に変換し、その電力を直流に変換してEVに充電していました。
この変換のたびにロスが発生するため、効率が良くありませんでした。
eneplatは直流電流をそのまま充電できるので、効率よく充電できます。
3つの運転モードがある
eneplatには蓄電池を有効活用するための3つのモードがあります。
- 自家消費モード(充電時間設定あり)
- 自家消費モード(充電時間設定なし)
- タイマーモード
それぞれの内容について詳しく見てみます。
自家消費モード(充電時間設定なし)
自家消費をしても使いきれない余剰電力を蓄電池やEVに充電します。
蓄えた電力は夕方以降に使います。
このモードにすることで電力会社から買う電力を最小限にでき、電気代を抑制できます。
自家消費モード(充電時間設定あり)
こちらのモードでは充電する時間を自由に設定できます。
設定した時間に発電量が足りなければ、電力会社から購入して充電します。
電力が比較的安い深夜に充電することで、電力コストを抑えることも可能です。
災害などの非常時に備えるのであれば、こちらのモードの方がよいでしょう。
ただし、電力会社との契約によっては割高になる可能性があるので、導入前にシミュレーションした方がよいでしょう。
タイマーモード
余剰電力を自家消費や充電に回さず、売電している家庭におすすめです。
FIT制度期間中であれば、売電価格が高いため自家消費よりも経済性に優れている可能性があるからです。
蓄電池やEVへの充電は深夜電力を活用して行うとコストを減らせます。
蓄電池とEVを同時に充放電できる
eneplatは蓄電池とEVに同時に充放電できます。
同時に充電できるということは、それだけ多くの電力を蓄えられることを意味します。
これにより、夜間に使用できる太陽光発電の電力が増えるため、電力会社から購入する電力を減らせます。
蓄電池の増設が容易
パナソニックのリチウムイオン電池は高出力・高容量でコンパクトです。
しかも、容量の種類が豊富です。
基本となるのが3.5kW、6.3kW、6.7kWの蓄電池で、これらを組み合わせることで蓄電池容量を簡単に増設できます。
3.5kW蓄電池1台 | 3.5kW |
3.5kW蓄電池2台 | 7.0kW |
6.3kW蓄電池1台 | 6.3kW |
6.3kW蓄電池2台 | 12.6kW |
6.7kW蓄電池1台 | 6.7kW |
6.7kW蓄電池2台 | 13.4kW |
3.5kW蓄電池1台と6.3kW蓄電池1台 | 9.8kW |
3.5kW蓄電池1台と6.7kW蓄電池1台 | 10.2kW |
6.3kW蓄電池1台と6.7kW蓄電池1台 | 13.0kW |
非常時にEVを大容量蓄電池として利用できる
V2Hでは蓄電池だけではなくEVも蓄電池として活用できます。
しかも、停電時でも200V全負荷に対応できます。
家庭用電化製品のうち、エアコンなどは200V対応のコンセントから電力を供給します。
200V対応ということは、住宅のある全ての電化製品に電力を供給できることを意味します。
また、全負荷対応できるということは、住宅の一部ではなく全部に電力を供給できるという意味です。
非常時でも200V対応・大容量の蓄電池があるのと同じですので、とても安心できます。
小さな面積に設置できる
V2Hで欠かせないのが住宅とEVの接続で、接続するにはV2Hスタンドが必要です。
eneplatのスタンドはエアコンの室外機よりも小さいため、駐車スペースを圧迫しません。
AiSEG2(アイセグツー)と連携できる
アイセグツーはパナソニック製のHEMSです。
HEMSは家庭内の電力の使用状況を把握するための機器です。
これにより、蓄電池やEVの充電状況を確認できます。
加えて、太陽光発電や家庭内の電力の使用状況が一目でわかります。
気象警報と連動し、停電に備えた充電も開始してくれるため非常に便利です。
また、停電リスクがあるときはエコキュートの自動沸き上げを停止して、電力を蓄電池やEVに残しておくといった機能も搭載されています。
V2H導入の注意点
eneplatは太陽光発電の有効活用や家庭内の電力消費のコントロールといった点で大きなメリットを有していることがわかりました。
しかし、導入にあたって注意すべき点が3つあります。
- 初期費用が高い
- EVのバッテリーが劣化する可能性がある
- 対応する車種が限られる
1つ目は初期費用の高さです。
eneplatのシステムをそろえるとなると以下の設備が必要となります。
パワーステーション | 968,000円 |
蓄電池用コンバータ | 407,000円 |
蓄電池ユニット(3.5kW) | 1,144,000円 |
V2Hスタンド | 1,760,000円 |
出典:パナソニック
これらを合計すると4,279,000円となります。
これにEVを追加するとかなりの初期投資が必要となります。
2つ目はEVのバッテリー劣化の問題です。
一般に、リチウムイオン電池は充放電を繰り返すと劣化します。
V2Hで電力を自宅に供給する回数が増えると、それだけ劣化が速まります。
EVの使用状況にもよりますが、使い方次第でバッテリーの劣化を早めてしまう可能性があります。
3つ目は対応する車種が限られていることです。
特に、外国車のV2H対応機種は少なく、購入時の選択の幅が狭まってしまいます。
まとめ
今回はパナソニックのV2Hであるeneplatについて紹介しました。
eneplatは太陽光発電の電力を有効活用するため、さまざまな機能が搭載されています。
特に、直流電流をそのまま充電できることや、アイセグツーと連動できるのはパナソニックならではの独自性といえるでしょう。
しかし、初期費用が高額なことやEVのバッテリー劣化の可能性を考えると、考慮しなければならない点もあります。
購入する前に、予算やeneplatを導入する目的をしっかり考える必要があります。
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この記事の監修者
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太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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