エネファームはどんな給湯器?4つのデメリットとメリットを解説!
エネファーム・エコジョーズ・エコキュート・エネフィールなど、高効率給湯機にはさまざまな種類があり、違いが分かりにくいかもしれません。
このうち、エネファームはガスを燃料として電気や熱を生み出す仕組みです。
低コストで運用でき、一般的なガス給湯器よりもランニングコストが安いというメリットがある半面、初期費用の高さやガスの使用量が増える点など、デメリットも少なからずあります。
今回はエネファームの仕組みやデメリットやメリットについて紹介します。
目次
エネファームとは何か(しくみ)
エネファームはエネルギーの「エネ」と農場を意味する「ファーム」を合成させた造語です。
ガスを燃料とし、ガスに含まれる水素と酸素を化学反応させて電気とお湯を作り出します。
こうした仕組みを「燃料電池」といいます。
都市ガスに使われている液化天然ガス(LNG)にも液化石油ガス(LPガス・プロパンガス)にも対応していますので、地域を選ばず設置可能です。
エネファームの4つのデメリット
エネファームを設置すると自宅で電気やお湯を作れます。
そのため、電気の購入量を減らせるという大きなメリットがあります。
しかし、導入前に知っておかなければならない4つのデメリットも存在します。
初期費用が高額
エネファームの本体価格が100〜200万円、設置費用が50万円前後かかります。
合計すると200〜250万円近くの初期費用が必要となります。
光熱費削減という点で競合するエコキュートの価格が30〜60万円、エコジョーズ(ガス給湯器)の価格が30〜40万円であることを考えるとかなり高額です。
ガス使用量が増える
エネファームは天然ガスやLPガスに含まれる水素と空気中の酸素を化学反応させて電気や熱を生み出す仕組みです。
そのため、稼働させるにはガスを使わなければなりません。
エネファーム導入前と比べると、明らかにガスの消費量が増えます。
そうなると、ガス価格が上昇した時に光熱費が大きく増える可能性があります。
日本は天然ガスのほぼすべてを輸入に頼り、国際情勢次第ではガス価格が大きく上昇する恐れがあります。
2022年2月、世界の天然ガス市場を揺るがす大事件が起こりました。
ロシアによるウクライナ侵攻です。
欧米が行った経済制裁への対抗措置として、ロシアはヨーロッパ向け天然ガスの供給を急減させます。
それが原因で天然ガス価格が高騰しました。
そうなるとエネファームのユーザーには不利に働きます。
コストを削減するつもりが、かえって光熱費を増やす結果になるかもしれません。
特に、ガス価格が都市ガスよりも高いと指摘されるプロパンガスを使用していると、思った以上にコストがかかるかもしれませんので注意しましょう。
オール電化に対応できず売電もできない
エネファームはガスを使用する仕組みであるため、全てを電気だけで賄うオール電化に対応していません。
また、エネファームと太陽光発電はともに電気を生み出すという点が共通しています。
しかし、エネファームで生み出した電力は太陽光発電のように売電することはできません。
そのため、自家消費以外に使い道がないのです。
自家消費を上回る余剰電力は蓄電池などに蓄えるか、売電可能なガス会社と契約しない限り無駄になってしまいます。
一定の設置スペースが必要
エネファームを設置するには、相応の設置スペースが必要です。
たとえば、パナソニックのFC-70LR13R90の場合、高さ1,650mm×幅400mm×奥行350mmのスペースが必要です。
これに、高さ1,650mm×幅700mm×奥行400mmの貯湯タンク(FC-NULR13S)が付くため、最低でも幅120センチ、奥行40センチ程度の設置面積を確保しなければなりません。
ただ、畳1畳(江戸間)の大きさが縦176センチ、横88センチほどですので、その中にすっぽり収まる程度の大きさともいえます。
また、最近では小型のエネファームも発売されているので、そちらを購入することで狭いスペースでも設置できるようになります。
エネファームの4つのメリット
エネファームには初期費用の高さやガス使用量が増えること、売電できないこと、一定の設置面積が必要であることがわかりました。
ここからは、エネファームのメリットについて解説します。
自宅で発電できる
ガスを使って電気と熱を生み出すため、外部から電力を購入しなくても、自宅で発電できます。
エネファームの最大発電量は700kWです。
これだけの電力量があれば、照明や冷蔵庫、エアコン、テレビなどを余裕をもって動かせます。
エネルギー効率が高い
ガスの中にある水素と空気中の酸素を化学反応させると、電気と熱が生み出されます。
この熱を利用して貯湯タンク内の水を温めてお湯にします。
このお湯はシャワーやお風呂、ガス温水床暖房などに利用されます。
一度の反応で生み出されたエネルギーを可能な限り利用するため、エネルギー効率が高い仕組みだといえます。
エネルギー利用率の高さは、従来システムの発電を上回ります。
電力は遠くに運ばれるほど失われます。
そのため、火力発電所から自宅に届くまでに59%もの排熱・送電ロスを発生させてしまいます。
つまり、41%しか有効利用できていないのです。
それに比べ、エネファームは使用する場所のすぐ近くで発電するため、電力を運ぶときのロスを考える必要がありません。
利用できない排熱が3〜15%程度ありますが、それを差し引いても85〜97%のエネルギーを利用できます。
ライフラインが停止しても稼働できる
エネファームは電気・水道・ガスなどのライフラインが停止しても、生活を維持できるようになっています。
エネファームの稼働中に停電したときは、自動的に発電モードが切り替わり、停電中でも住宅に電力を供給します。
最大500W、最長192時間(8日間)の自立運転が可能です。
地震などが原因で水道水が断水したときは、貯湯タンク内の水を生活用水に使用できます。
これにより、普段備蓄している水を飲料用に、トイレの排水や手洗い用として貯湯タンクの水を使用するといった使い分けができます。
また、ガスだけが停止した場合は、外部からの電力を使いお湯を沸かすことも可能です。
補助金の対象となっている
エネファームは政府の給湯省エネ事業や地方自治体の補助金の対象となる機器です。
給湯省エネ事業はエネファームやエコキュート、ハイブリッド給湯器などの高効率給湯器の導入を促進するために補助金を支出する事業で、1台あたり15万円の補助金が交付されます。
自治体の補助金は地域によって異なります。
東京都の場合、機器の費用の5分の1、最大で1台あたり7〜10万円の補助金が交付されます。
詳しい内容については、居住する自治体の公式サイトなどで確認したほうがよいでしょう。
まとめ
今回はガスを燃料として発電・給湯するエネファームの4つのデメリットや、エネファームの仕組み、4つのメリットなどについてまとめました。
初期費用の高さやガス価格の高騰でコストが増える点など、エネファームならではのデメリットがあるとわかりました。
しかし、自宅で発電できる点や災害時に強い点、補助金が交付される点などは大きなメリットです。
メリット・デメリットを比較検討し、自分にとって必要性が高いのであれば、積極的に導入を検討するべきではないでしょうか。
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