パワコンはどんな機器?太陽光発電の心臓部?徹底解説!
電力価格の高騰により、太陽光発電に対する注目度が上がっています。
太陽光発電といえばパネルに目が行きがちですが、実は心臓部ともいえる重要な機器が存在します。それが「パワコン(パワーコンディショナー)」です。
今回は太陽光発電システムにおけるパワコンの役割や寿命、故障する主な原因、選ぶときの注目点などについて解説します。
目次
パワコンは太陽光発電に必要な設備
パワコンとはパワーコンディショナーの略語です。
太陽光発電に必要な設備の一つで、生み出された電力を家庭で使用できるように変換したり、システム全体を効率よく稼働させるといった役割を担っています。
見た目は箱型で衣装ケースや宅配ボックスなどと似た形をしています。
住宅用太陽光発電システムでは、住宅の外壁に設置されることが多い機器です。
システム全体の心臓部といってもよい機器で、これが壊れてしまうとシステムが全く機能しなくなってしまいます。
パワコンには屋内型と屋外型の2種類があります。
屋内に設置する場合は、運転音や放熱などに配慮して設置場所を決めなければなりません。
屋外に設置する場合は常に風雨にさらされることを考慮し、防水・防塵機能を高める必要があるため、屋内型よりも高額になる傾向が見られます。
パワコンの役割
先ほど「システムの心臓部」と表現しましたが、実際にはどのような役割を担っているのでしょうか。
パワコンの3つの役割について解説します。
直流電流を交流電流に変換する
電気の流れ方には「直流」と「交流」の2種類があります。
直流は導線を流れているときに向きや大きさ、電圧が変化しない電気の流れ方のことです。
太陽光パネルが生み出す電気は直流電流です。
一方、交流は電気の流れる向きや大きさ、電圧が周期的に変化する電気の流れ方です。
家庭用電化製品は交流の電気で動くように作られています。
太陽光パネルで発電した電気を家庭で使うには直流電流を交流電流に変換しなければならないのです。
この時に活躍するのがパワコンです。
パワコンは太陽光パネルで生み出した直流電流を家庭で使用できる交流電流に変換してくれます。
ということは、パワコンが壊れてしまうと、いくら電気を作っても自宅の電化製品を動かせなくなってしまいます。
太陽光パネルの発電量を最大化する
パワコンの役割は電流の変換だけではありません。
太陽光パネルが生み出す発電量を最大化する役割も担っています。
パワコンに備わっている「MPPT(最大電力点追従制御)」は太陽光パネルが発電するとき、最も出力が大きくなるように電流や電圧を自動調整してくれます。
この機能があるおかげで、太陽光パネルは天候による影響を最小限に抑え、常に最大の電力を発電できているのです。
系統連系保護機能がある
パワコンは売電するときにも重要な役割を担っています。
太陽光発電の余剰電力は電力会社が買い取ってくれますが、そのときに電力会社の電力系統と自宅の太陽光発電設備をリンクさせるのもパワコンの重要な仕事です。
このとき、自宅の太陽光発電システムに異常が発生すると、電力系統に悪影響を与えて地域全体を巻き込むトラブルを引き起こす可能性があります。
自宅の太陽光発電にトラブルが発生したときに電力系統から切り離す系統連系保護機能が発動します。
この機能があるおかげで、電力系統や地域住民を巻き込むトラブルを防いでいます。
パワコンの寿命は10~15年
太陽光発電のメインとなる機器は太陽光パネルとパワコンです。
パネルの平均寿命は20〜30年程度とされているのに対し、パワコンは10〜15年程度といわれます。
直流電流を交流電流に変換する過程でパワコン内部の半導体が劣化します。
パネルが20年、パワコンが10年で寿命を迎えると考え、それに応じた予算を立てておくと交換時の負担を減らせます。
一度劣化してしまったパワコンを修理するのは難しいため、基本的には交換となります。
少しでも長く利用するためには、温度が高すぎる場所や湿気が多いところに設置するのを避けましょう。
パワコンの故障原因
パワコンが壊れてしまう主な原因は以下の3つです。
- 施工不良
- 経年劣化
- 外部の影響
パワコン設置時に工事に不備があると、それが原因でパワコンが壊れてしまうことがあります。
具体的にはケーブルの接続不良による発熱や破損、ケーブルの断線・切断などがあげられます。
電化製品である以上、使っているうちに劣化することは避けられません。
半導体の劣化やファンの劣化が進むとパワコンが機能しなくなるかもしれません。
業者による定期点検・メンテナンスをいれることで、寿命を伸ばすことができるでしょう。
ここでいう外部の影響とは風水害や害獣・虫害などのことです。
設置業者と相談し、風水害の影響や小動物・虫が侵入しにくい場所にパワコンを設置するようにしましょう。
パワコンを選ぶときの注目点
パワコンを取り扱っているメーカーは複数あります。
どのパワコンを選べばよいか迷うかもしれません。
ここではパワコンを選ぶときに注目するべき4つの点について解説します。
変換効率に注目
太陽光パネルの電力を直流から交流に変換するとき、かならず一定の電力ロスが発生してしまいます。
電力ロスが少ないほど、得られる電気の量を増やせますので、変換効率が高いパワコンを選ぶようにしましょう。
大きさや設置場所に注目
パワコンの大きさはメーカーや容量によって変化します。
一般的には幅50センチ、高さ30センチ、奥行き15cm前後のものが多いようです。
カラーボックスよりも少し幅をとるほどの大きさですので、意外と場所を取ります。
また、配線の関係でブレーカー付近など限られた場所にしか設置できないこともあるため、設置前にスペースを確保しておく必要があります。
蓄電池も併せて設置するのであれば、一体型にすることでスペースを節約できます。
最大定格出力に注目
パワコンが出せる最大出力のことを最大定格出力といいます。
太
太陽光パネルの発電量がパワコンの最大定格出力を上回ってしまうと、せっかく発電した電力の一部が変換できず、捨てざるを得なくなります。
発電量が少ない朝や夕方でも十分発電できるよう、パワコンの最大定格出力以上に太陽光パネルを増やす「過積載」という方法もありますが、条件によっては無駄になってしまう可能性もあります。
基本的に、太陽光パネルの定格出力にあわせてパワコンの最大定格出力を選ぶのが無難です。
価格に注目
太陽光発電システム全体の費用は80〜130万円前後ほどです。
10年前の215万円と比べると半額近くまで費用が下がりました。
当然、パワコンの価格も下がっています。
パワコンの費用は1kWあたりおよそ4.2万円です。
5kWの太陽光発電であれば、21万円ほどかかる計算になります。
太陽光パネルの価格が1kWあたり14.5万円ですので、パネルのおよそ3分の1の価格が相場だといえます。
パワコンの保証はどうなっている?
パワコンの保証はメーカーによって異なりますが、一般的には10〜25年の保証がつけられています。
太陽光発電そのものにつくシステム保証では、パワコンや取付架台、延長ケーブルなどが保証対象となります。
こうしたメーカーの保証に加え、自然災害補償を追加で付けることもできます。
火災・落雷・雪災・風災・水災なども保証してくれます。
災害に備えたい場合は検討してもよいでしょう。
まとめ
今回は太陽光発電の重要機器であるパワコンについて開設してきました。
パワコンは直流電流を交流電流に変える役割を果たしているため摩耗しやすく、太陽光パネルよりも早く寿命を迎える機器です。
パワコンを選ぶときは変換効率や大きさ、最大定格出力、価格に注目するとよいでしょう。
また、長期間使用する機器ですので、保証についてもしっかり確認しておきましょう。
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