太陽光発電は今後どうなる?現状や将来の展望を徹底解説!
FIT制度がスタートした2012年から、10年以上の歳月が経過しました。
その間、太陽光発電設備は大幅に増加しましたが、急速な普及に伴い、地域とトラブルになる事例も報告されています。
太陽光発電は、今後どうなるのでしょうか。
今回は、太陽光発電の現状を踏まえ、将来性や今後の動向などを考えてみたいと思います。
目次
太陽光発電の現状
最初に、太陽光発電の現状について整理します。
住宅用太陽光発電の導入件数は横ばい
経済産業省は、太陽光発電の普及を促すため、FIT制度を導入しました。
FIT制度は太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギー(以下、再エネ)によって生み出された電力を電力会社が10年間固定価格で買い取る制度です。
導入当初は10kW未満の設備で1kWあたり42円とかなりの高額で電気を買い取っていました。
買取価格の高さに引かれ、2012年度には約27.2万件の住宅用太陽光発電設備が導入されました。
しかし、買取価格が年々低下するにつれ、太陽光発電の導入件数も減少しました。
2017年度から2021年度にかけては、年間平均で14.5万件で横ばい状態です。
設置件数はFIT制度で関心を集めた2012年度の半分近くまで落ち込んでしまいました。
出典:経済産業省
新築住宅の着工件数が減少すれば、太陽光発電設備の導入件数がさらに減少する可能性があります。
事業用太陽光発電の導入件数は減少傾向
住宅用太陽光発電より規模が大きい事業用太陽光発電の動向はどうなっているのでしょうか。
こちらのピークは2014年度から2015年度で、年間8GWも導入量が増加しました。
しかし、2016年度には5GW前後まで落ち込み、この状態で2020年度まで推移します。
2021年度には、約3.7GWまで導入量が減少してしまいました。
経済産業省に太陽光発電に関する報告書を提出した太陽光発電協会は、導入量の減少が続くのではないかと懸念しています。
出典:経済産業省
国や自治体はカーボンニュートラルを推進
国や地方自治体は、二酸化炭素の排出量と吸収量を等しくするカーボンニュートラルを推進しています。
日本政府の目標は2050までにカーボンニュートラルを達成することです。
カーボンニュートラルが重視されるのは、環境問題に関する国際的な関心が高まっているからです。
2015年に採択されたパリ協定では、世界共通の長期的な目標として、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つことや、1.5℃に抑える努力をすることが定められました。
この目標を推進するには、火力発電に依存している現在の状況を変化させ、太陽光発電をはじめとする再エネの割合を増やさなければなりません。
そのため、政府や自治体は太陽光発電や蓄電池の普及を後押しする補助金などを交付しています。
太陽光発電の今後はどうなる?
太陽光発電の導入件数が減少傾向であることや、カーボンニュートラル推進のため、再エネ比重を増やす必要があることなどがわかりました。
ここからは6つの面から太陽光発電の今後を考えてみましょう。
導入コストは減少傾向
太陽光発電の導入コストは年々減少しています。
2012年の新築戸建の導入コストは1kWあたり43.1万円でした。
2022年のコストは26.1万円で、2012年の6割程度までコストが低下しています。
大幅にコストが下がった理由は、太陽光パネルやパワコンの価格が大幅に下がったからです。
太陽光パネルは1kWあたり18万円から10万円に、パワコンは5.2万円から3万円に、それぞれコストが減少しました。
しかし、工事費は8.1万円から7.2万円の減少にとどまっています。
買取価格は年々低下
FIT制度による10kWh未満の電力の買取価格は、年々低下しています。
2012年度 | 42円 |
2013年度 | 38円 |
2014年度 | 37円 |
2015年度 | 29円→27円 |
2016年度 | 31円or33円 |
2017年度 | 28円or30円 |
2018年度 | 26円or28円 |
2019年度 | 24円or26円 |
2020年度 | 21円 |
2021年度 | 19円 |
2022年度 | 17円 |
2023年度 | 16円 |
出典:資源エネルギー庁
上記のデータでわかるように、買取価格は年々低下しています。
FIT制度導入当初のような、売電で利益を上げるスタイルは難しくなっています。
自家消費に注目
近年、太陽光発電は売電目的よりも自家消費目的用の設備として注目されています。
2022年から2023年にかけて、円高や資源高の影響により電力価格が大幅に上昇しました。
電気代の高騰を機に、太陽光発電で生み出した余剰電力を自家消費に充てる動きがみられます。
注目されている理由は、発電した電力を自家消費することにより、電力会社から電気を購入する必要がなくなるため、電気料金を削減できるからです。
エコキュートと太陽光発電を組み合わせた「おひさまエコキュート」のように電力を効率よく使う仕組みも整いつつあります。
また、災害時の非常用電源としても注目されています。
これも、電気を自家発電・自家消費する動きを後押ししています。
蓄電池との連携が必須
自家消費の恩恵を最大限受けるためには、蓄電池との連携が必要です。
太陽光発電設備を導入しても、電気を利用できるのは昼間だけで、夜になると電力会社から電気を買わなければなりません。
蓄電池があれば、昼間に発電した電気をためておくことができるため、夜間も太陽光発電で生み出した電気を使って生活ができます。
自家消費の効果を最大限発揮させるのであれば、蓄電池との併用は必須といえるでしょう。
ZEHやEV(電気自動車)と併用
太陽光発電は、ZEHやEVと切っても切り離せない関係にあります。
ZEHとは、消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅のことです。
ZEHでエネルギーを生み出す仕組みが太陽光発電であるため、ZEHは太陽光発電ありきの住宅であることがわかります。
EVは、急速充電機などを使って充電することができますが、自宅のコンセントからも充電できます。
したがって、太陽光発電で生み出した電気をEVのエネルギー源として活用することも可能です。
新技術により設置方法が多様化
太陽光発電に関するあたらしい技術が開発されつつあります。
あたらしい太陽光電池は「ペロブスカイト型太陽電池」といいます。
従来型の太陽光パネルはシリコン製であるため強度が弱く、ガラスなどで保護しなければなりませんでした。
しかし、ペロブスカイト型太陽光電池は、従来型の100分の1の厚さ、10分の1の軽さと非常に扱いやすくなっています。
しかも、薄いため曲げられるという特徴があります。
これまで設置が難しかった曲面や壁などにも設置できる可能性があります。
加えて、従来型よりも光の吸収効率が良いというメリットもあります。
屋内の蛍光灯の光でも発電できるほど、光の吸収性が高まっているといいます。
こうした新技術が開発されれば、従来は設置不可能と思われていた場所にも設置できるようになるでしょう。
また、大量生産技術が確立すれば、今以上のコストダウンが可能かもしれません。
まとめ
今回は太陽光発電の今後について、現状や将来の展望をまとめました。
FIT制度が導入された2012年当時では、考えられないほど太陽光発電が普及しました。
その反面、太陽光発電の中心は中国に移り、日本はその後を追っているのが現状です。
従来型の太陽光発電だけでは、いずれ行き詰まってしまう可能性が高いでしょう。
導入件数の伸び悩みが、行き詰まりを暗示しているかもしれません。
しかし、2050年までのカーボンニュートラルを達成するには、まだまだ、十分な普及率とは言えません。
ペロブスカイト型太陽電池のような新技術を積極的に活用することで、太陽光発電の将来性が開けるのではないでしょうか。
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この記事の監修者
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