エネファームはどんな給湯器?太陽光発電と併用できるって本当?徹底解説します!
2022年から2023年にかけて政府が実施した給湯省エネ事業は、高効率給湯器の普及を推進するために実施された補助金です。エコキュートに注目が集まりがちですが、それ以外にも家庭用燃料電池(エネファーム)やハイブリッド給湯器なども補助金の対象となっていました。
都市ガスやLPガスを利用して発電するエネファームですが、効率が良いだけではなく太陽光発電とも併用できます。今回はエネファームの概要やメリット、太陽光発電との併用について解説します。
目次
エネファームとは
エネファームとはどのような給湯器なのでしょうか。概要や仕組みについてまとめます。
エネファームは家庭用燃料電池
家庭用燃料電池とは、都市ガスやLPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電するものです。開発を手掛けたのはパナソニックと東京ガスです。開発されたのは2009年ですので、まだ新しい技術だといってよいでしょう。
1997年に京都議定書が採択されると、環境問題や二酸化炭素の排出削減の意識が高まり、燃料電池に対する注目が高まっていきました。
「エネファーム」という言葉はエネルギーとファーム(農場)を組み合わせた造語です。ガス由来の水素と大気中の酸素を組み合わせて電気と熱を作る仕組みを、水と大地から農作物を生み出す農場になぞらえたネーミングでした。エネファームがある家庭はすでに小さな発電所を所有しているといってもよいでしょう。
エネファームの仕組み
エネファームは、水の電気分解と逆のことを行い熱や電気を取り出します。都市ガスの主成分であるメタンやLPガスの主成分であるプロパン・ブタンには水素が含まれています。そこから水素を取り出し、空気中の酸素と結びつけます。
2H2+O2⇒2H2O+電気+熱
2つの水素分子と1つの酸素分子が化学反応を起こすと、2つの水分子と電気や熱が発生します。このとき発生する電気や熱を取り出して家庭で使用します。電気は家庭で使用する電力として使用し、熱は貯湯ユニットのお湯を温めるのに役立てられ給湯や暖房に用いられます。
エコキュートとの違い
名前が似ている機器として「エコキュート」があります。両者の違いも整理しましょう。エコキュートは電気の力でお湯を沸かす電気温水器の一種です。貯湯タンクのお湯を温めて給湯する点ではエネファームと同じですが、電気を作り出すことはできません。
また、エコキュートは空気中の熱を利用するのに対し、エネファームは空気中の酸素を利用しています。両者とも高効率給湯器に分類されますが、仕組みは全く別物だと理解しておきましょう。
エネファームのメリット
高効率給湯器であるエネファームにはどのようなメリットがあるのでしょうか。3つのメリットを紹介します。
エネルギー効率が高い
1つ目のメリットはエネルギー効率が高いことです。一般的な火力発電の場合、発電時のエネルギー効率は40%ほどです。家庭まで送られる間に失われる送電ロスが5%ほどあることを考えると、エネルギー効率は35〜40%ほどと考えられます。
それに対し、自宅で発電するエネファームは送電ロスがありません。しかも、エネルギー効率が70〜90%と非常に高いというメリットがあります。同じガスを使うにしても、エネルギー効率をかなり高められるでしょう。
停電時の備えになる
2つ目のメリットは停電時の備えになることです。自然災害が発生すると、ライフラインである電気・水道・ガスが停止する恐れがあります。オール電化住宅のように電気だけに頼ってしまうと、停電時に万事休してしまいます。
エネファームを設置している場合、停電になってもガスがストップしない限り発電できます。水道が止まってしまった場合は、貯湯タンクの水を非常用として使用することができます。
ライフラインの中でもガスは比較的災害に強いです。なぜなら、ガス管が地中に埋められているため風水害の被害を受けにくいからです。ガスが停止する恐れが高いのは地震発生時です。ガス管そのものが地震で破壊されたり、震度5以上の地震が発生するとガスが止まってしまう可能性があります。
2023年1月1日に石川県能登地方で発生した大地震の場合、ガス供給は1月4日までにほぼ復旧しました。同じく震度7を記録した北海道の胆振東部地震(2018年)の場合も、ガス管の被害はほぼ発生していません。
一方、電気については能登半島地震の停電率は1月15日段階で40%と高止まりしています。山がちな地形が復旧の妨げとなっているからです。
地形が険しい地域の場合、災害に対する備えの一環としてエネファームの導入を検討してもよいのではないでしょうか。
CO2の排出削減ができる
エネファームを利用すると、年間で1,330キログラムもの二酸化炭素排出を削減でき、排出量を38%も削減できます。石油や天然ガスなどの一次エネルギーの使用量を23%削減できるため、かなり省エネになります。
1,330キログラムの二酸化炭素を吸収するには2,460㎡の森林が必要です。エネファームの利用により、同じ程度の森林を保有するのと同じ効果が得られるのです。
エネファームと太陽光発電は併用できる
エネファームの活用方法の一つに太陽光発電との併用があります。両者を併用するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。メリットを3点紹介します。
発電量を増やせる
1つ目のメリットは発電量を増やせることです。昼間は太陽光発電を中心に行い、自家消費や余った電力を売電します。夜間はエネファームを活用して自家消費分を賄います。それぞれを単体で運用したときと、両者を併用したときの効果は以下のとおりです。
エネファームの単体使用 | 家庭で使用する電気の46%をカバー |
太陽光発電の単体使用 | 電気購入量の36%削減+余剰電力の売電 |
両者の併用 | 購入電力量が従来の35%まで低下 太陽光発電の73%を売電 |
ランニングコストを減らせる
2つ目のメリットはランニングコストを削減できることです。エネファームで電気を生み出すだけではなく、太陽光発電でも電気を作り出せるため、電力会社から購入する電気の量を大幅に削減できます。その結果、ランニングコストを削減できます。
CO2排出量を大幅に削減できる
3つ目のメリットは二酸化炭素の排出量を大幅に削減できることです。エネファーム単体で考えても、二酸化炭素の排出量をかなり削減できますが、発電時に二酸化炭素を排出しない太陽光発電と組み合わせることで、さらなる削減効果が期待できます。機種や条件にもよりますが、二酸化炭素を90%程度減らせるため、画期的な仕組みといえるでしょう。
まとめ
今回はエネファームの概要やメリット、太陽光発電との併用について解説しました。エコキュートに比べると知名度が低いエネファームですが、ガス供給さえ維持できれば停電時でも発電できるという点が魅力です。
2023年に実施した給湯省エネ事業での補助金は1台あたり15万円で、エコキュートの3倍です。電気だけに頼らずリスクを分散させたい方は、補助金を活用したエネファームの導入や、太陽光発電との併用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者
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