バイポーラ型蓄電池ってなに?特徴や仕組み・メリットを徹底解説!
従来型の蓄電池に比べて、体積あたりの出力や容量が大きい「バイポーラ型蓄電池」という次世代の蓄電池の普及が進んでいることをご存じでしょうか?
本記事では、バイポーラ型蓄電池の特徴や仕組み、既存の蓄電池にはないメリット・デメリットを初心者にもわかりやすく解説していきます。
記事の後半では、すでに開発や導入が進んでいるバイポーラ型蓄電池の一例もご紹介していますので、蓄電池の新たな可能性に興味がある方はぜひご一読ください!
目次
バイポーラ型蓄電池とは?特徴や仕組み・メリットやデメリットを解説
まずはじめに、バイポーラ型蓄電池の特徴や仕組み、従来型の蓄電池との違いや独自のメリット・デメリットについて解説していきます。
バイポーラ型蓄電池の特徴
バイポーラ型蓄電池とは、バッテリー内部をコンパクト化する「バイポーラ(Bipolar:双極)」と呼ばれる構造が採用された蓄電池のことです。
従来型では分離配置されていた「プラス極とマイナス極」を一体化させることで大幅なサイズダウンを実現しており、「体積あたりの蓄電容量が大きい」ことが最大の特徴となっています。
バイポーラとはあくまで構造や製造技術を指す用語であり、蓄電池のバッテリー素材としては「ニッケル水素」や「鉛」、「リチウムイオン」などさまざまな物質が用いられています。
バイポーラ型蓄電池の仕組み
そもそも蓄電池の内部には「セル」と呼ばれる小さな電池ユニットが多数搭載されており、蓄電容量や出力、電圧などのスペックは「セルの個数や性能」によって左右されます。
従来型の蓄電池はひとつひとつ独立したセルを配線でつなぐ構造であるのに対し、バイポーラ型蓄電池はプラス極とマイナス極を「薄い金属板」で固定することで、複数のセルを一体化しています。
バイポーラ型蓄電池はセルの一体化技術により「大幅なコンパクト化」を実現しており、そのぶん空いたスペースに大量のセルを搭載することで、大容量化に成功しています。
バイポーラ型蓄電池の「従来型にはない」メリット
バイポーラ型蓄電池の最大のメリットは、同サイズの従来型蓄電池に比べてはるかに蓄電容量が大きく、出力や電圧においても優れていることです。
大容量を実現できる理由は、バイポーラ型は従来型より「必要な部品点数」が少なく、同じスペースにより多くのセルを搭載できるからです。
また、バイポーラ型蓄電池は構造がシンプルなため電力ロスや内部の電気抵抗も少なく、結果的によりスムーズに出力を確保できる点も見逃せないメリットといえます。
たとえば、トヨタ自動車に搭載されているバイポーラ型蓄電池は従来型に比べて「約1.4倍の大容量」と「約1.5倍の高出力」を実現しています。
バイポーラ型蓄電池に「デメリット」はある?
バイポーラ型蓄電池のデメリットとしては、「製造に高度な技術が要求される」ことと、「現状ではまだまだ市場に流通していない」点が挙げられます。
従来型よりコンパクトなバイポーラ型蓄電池は「充放電による内部物質の膨張・収縮」の影響を受けやすいため、製造技術が低いと使用中にショートが頻発する恐れがあります。
また、安全性を高めるために内部を複雑に設計しすぎると「製造難易度やコスト」がかえって増加してしまうことも、多くの企業が採用を見送る原因となっています。
以上のハードルを乗り越えて商品化に成功した一部のバイポーラ型蓄電池は、非常に高い製造技術で生産されている証拠といえるでしょう。
現在開発・導入が進んでいるバイポーラ型蓄電池の一例
つづいて、2024年現在までに開発・導入が進められているバイポーラ型蓄電池の一例をご紹介していきます。
①「アクア」「レクサス」など多くのトヨタ車に搭載
2021年にフルモデルチェンジされたトヨタのハイブリッド車「アクア」には、バイポーラ型のニッケル水素電池が世界で始めて搭載されたことで知られています。
バイポーラ型のニッケル水素電池は従来型バッテリーより大容量・コンパクト」かつ「コストも安い」ため、車両の総費用を抑えつつ航続距離などの性能アップを実現しています。
現在では「レクサス」などの高級グレード車種にもバイポーラ型電池が多く採用されているほか、リチウムイオンをベースとしたバイポーラ型電池の開発も進んでいます。
②古河電工が「鉛蓄電池」を改良したバイポーラ型蓄電池を開発
日本を代表する光ファイバー・電線メーカーである古河電工は、実現が難しいと言われていた「バイポーラ型の鉛蓄電池」の開発を2020年に成功させたことで話題となりました。
古河電工のバイポーラ型鉛は従来の鉛蓄電池に比べて大幅なサイズダウンを実現、リチウムイオン蓄電池の「半分」ほどのコストで製造できることも独自の強みとなっています。
可燃性の電解液を使わない鉛蓄電池は、リチウムイオン蓄電池に比べて火災のリスクが少ないというメリットもあり、商業施設や太陽光発電所などに導入が進められています。
③マクセルが「コイン型」のバイポーラ型蓄電池を出荷予定
高性能な電池製品や光学部品の製造で知られるマクセルは、2021年に「バイポーラ型全固体電池」と呼ばれるコイン型の超小型バイポーラ蓄電池の開発に成功しました。
市場での販売は開始されていないものの、従来のコイン型電池に比べてはるかに電圧や出力が高く、補聴器や情報端末など、多種多様な小型機器への導入が検討されています。
また、マクセルのコイン型バイポーラ蓄電池は従来製品よりも大幅な長寿命を実現しており、毎日充放電を繰り返す「スマートウォッチ」などとの相性も抜群といえます。
「家庭用」のバイポーラ型蓄電池は販売されている?
残念ながら2024年現在、家庭に設置できるタイプのバイポーラ型蓄電池を販売している企業は存在しません。
一方で、古河電工など一部の企業は「太陽光発電と連携可能な小型のバイポーラ型蓄電池」の実証実験を進めているため、近年中に家庭用タイプが発売される可能性は十分にあります。
家庭用のバイポーラ型蓄電池の販売価格は「従来型のリチウムイオン蓄電池より割安」になることが予想されますので、こまめに企業ニュースなどをチェックしておきたいですね。
まとめ:バイポーラ型蓄電池は軽量コンパクト!コスパの高さも魅力的
本記事でくわしく解説してきた「バイポーラ型蓄電池の特徴やメリット・デメリット」についての重要ポイントを、以下にもう一度まとめていきます。
- バイポーラ型蓄電池とは、従来型では独立していたセルを一体化することで、大幅なコンパクト化を実現した蓄電池のこと
- コンパクト化により体積あたりの蓄電容量が大きく、高出力・高電圧であることがメリット
- バイポーラ型蓄電池の製造には高い技術が必要であり、なかなか商品化が進まない点がデメリット
- トヨタの「アクア」や「レクサス」には、バイポーラ型のニッケル水素蓄電池が搭載されている
- 古川電工が太陽光発電と連携できるバイポーラ型蓄電池を開発に成功しており、家庭用の商品化に期待されている
高度な技術力を要するため「商品化は難しい」と言われていたバイポーラ型蓄電池ですが、トヨタや古河電工などさまざまな企業が開発に成功したことで、ますます注目度が高まっています。
バイポーラ型蓄電池は従来型に比べて「大容量・高出力で高コスパ」とメリットが多いため、家庭用蓄電池が販売されれば爆発的に需要が増えることでしょう。
数年のうちに家庭用のバイポーラ型蓄電池が商品化される可能性は充分にありますので、興味のある方はこまめに情報収集しておきましょう!
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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