蓄電池放電とは?家庭で活用するメリット

蓄電池放電の基礎知識
蓄電池放電のメカニズム
蓄電池放電とは、蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを電力として取り出すプロセスのことです。蓄電池内部で起こる化学反応によって、蓄積された電気エネルギーが直流電力として放出され、家庭の電力需要を満たすために活用されます。
家庭用蓄電池では、この放電機能により、太陽光発電で発電した余剰電力を夜間や悪天候時に活用できるほか、電気料金の安い深夜時間帯に充電した電力を昼間の電気料金が高い時間帯に使用することで、電気代の節約を実現できます。
蓄電池放電の種類と特徴
蓄電池の放電方式には、主に以下の種類があります。
特定負荷型放電では、あらかじめ指定された重要な家電製品にのみ電力を供給します。照明や冷蔵庫など、生活に不可欠な機器を優先的に動作させることで、限られた蓄電容量を効率的に活用できる特徴があります。
全負荷型放電は、家全体のすべての電気回路に電力を供給する方式です。停電時でも通常とほぼ変わらない生活を継続できるメリットがある一方で、消費電力が大きくなるため蓄電池の容量を多く消費する特徴があります。
蓄電池放電の活用シーン
停電時の非常用電源として
蓄電池の放電機能は、台風や地震などの自然災害による停電時に、家庭に安定した電力供給を提供する重要な役割を果たします。一般的な家庭用蓄電池(4kWh~7kWh)であれば、省エネ型の家電製品を中心に8時間から24時間程度の電力供給が可能です。
特に医療機器を使用している家庭や、在宅ワークが必要な世帯にとって、蓄電池の放電機能は生活の継続性を保つ上で欠かせない機能となります。
電気料金の削減効果
電力会社の時間帯別電気料金プランと組み合わせることで、蓄電池の充放電により大幅な電気代削減が期待できます。深夜の安価な電力で充電し、昼間の高額な時間帯に放電することで、月間の電気料金を20%から30%程度削減できるケースもあります。
太陽光発電システムと連携した場合、さらなる経済効果が見込めます。日中に発電した余剰電力を蓄電池に充電し、夕方から夜間にかけて放電することで、電力の自家消費率を大幅に向上させることができます。
蓄電池の種類と放電特性
リチウムイオン蓄電池
現在の家庭用蓄電池の主流であるリチウムイオン蓄電池は、高いエネルギー密度と優れた放電特性を持ち、最新のリチウムイオン蓄電池では6,000回から12,000回程度の充放電サイクルが可能です。
放電効率が90%以上と高く、長期間にわたって安定した電力供給能力を維持できる特徴があります。また、メモリー効果がないため、任意のタイミングで充放電を行っても性能劣化が少ない利点もあります。
その他の蓄電池タイプ
NAS電池は大型施設向けの蓄電システムとして活用されており、15年程度の長寿命と大容量の電力貯蔵が可能な特徴を持ちます。ただし、高温での動作が必要なため、一般住宅での導入は限定的です。
鉛蓄電池は初期費用が安価である一方、放電深度による寿命への影響が大きく、現在では家庭用蓄電池としての採用は減少しています。
蓄電池の導入費用と経済性
家庭用蓄電池の費用相場
家庭用蓄電池の費用相場は容量1kWhあたり20万円~30万円程度が基準となります。一般的な家庭用蓄電池(4kWh~7kWh)の場合、100万円~200万円程度が導入費用の目安となります。
容量別の価格相場は以下のとおりです。
- 小容量の3kWh~5kWhタイプ:100万円~150万円
- 中容量の6kWh~10kWhタイプ:150万円~200万円
- 大容量の10kWh以上:200万円~350万円程度
設置工事費用
蓄電池の標準的な設置工事費用は20万円~35万円程度となり、設置環境や配線の複雑さ等により変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
太陽光発電システムとの連携
太陽光発電との組み合わせメリット
太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、エネルギーの完全自給自足に近い生活が実現可能になります。日中に発電した電力を蓄電池に充電し、夕方から夜間にかけて放電することで、電力会社からの電力購入量を大幅に削減できます。
住宅用太陽光発電(10kw未満)の売電価格は1kWhあたり15円となっており、設置年度や電力会社によって異なりますが、自家消費による経済効果の方が高くなるケースが多いのが現状です。
系統連系時の注意点
太陽光発電システムと蓄電池を電力会社と系統連系する場合、パワーコンディショナーの経年劣化が早まることがある点に注意が必要です(※電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります)。
系統連系申請から承認までの期間は通常3ヵ月~6ヵ月程度を要するため、導入計画は余裕を持って進めることが重要です。
蓄電池の寿命と保守管理
蓄電池の期待寿命
最新の家庭用蓄電池の寿命は30年前後とされており、適切な使用と定期的なメンテナンスにより長期間の使用が可能です。ただし、使用環境や充放電パターンによって寿命は変動するため、定期的な性能チェックが推奨されます。
保証とメンテナンス
蓄電池メーカーでは基本的には10年から15年程度の製品保証を提供していますが、保証内容や条件はメーカーによって異なります。定期的な点検により、放電性能の維持と安全性の確保が図られます。
まとめ
蓄電池放電は、現代の家庭におけるエネルギー管理の中核となる重要な機能です。停電時の非常用電源としての安心感と、日常的な電気料金削減効果の両方を実現できる優れたシステムとして、多くの家庭で導入が進んでいます。
太陽光発電システムとの連携により、さらなる経済効果と環境貢献が期待できるため、住宅設備の導入を検討されている方は、蓄電池の放電機能を活用したエネルギーシステムの導入を検討されることをお勧めします。
設置環境や使用条件によって最適なシステム構成は異なるため、詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
よくある質問
蓄電池の放電時間はどの程度持続しますか?
蓄電池の放電持続時間は、蓄電容量と消費電力によって決まります。一般的な4kWh~7kWhの家庭用蓄電池の場合、省エネ型家電を中心とした使用であれば8時間から24時間程度の電力供給が可能です。全負荷型での使用や大容量家電を同時使用する場合は、放電時間が短くなります。
放電中に蓄電池の性能は劣化しますか?
最新のリチウムイオン蓄電池では、6,000回から12,000回程度の充放電サイクルが可能であり、適切な使用であれば30年前後の長寿命が期待できます。ただし、過度な深放電や高温環境での使用は性能劣化を早める要因となるため、適切な使用環境の維持が重要です。
太陽光発電なしでも蓄電池の放電メリットはありますか?
太陽光発電システムがなくても、電力会社の時間帯別料金プランを活用することで経済効果を得られます。深夜の安価な電力で蓄電池を充電し、昼間の高額な時間帯に放電することで、月間電気料金の20%から30%程度の削減が期待できるケースがあります。
停電時の放電機能に制限はありますか?
停電時の放電機能は、蓄電池のタイプによって異なります。一般負荷型の場合は、あらかじめ指定された回路にのみ電力を供給し、全負荷型の場合は家全体に電力を供給できます。また、200V機器への対応可否も製品によって異なるため、導入前の仕様確認が必要です。
蓄電池の放電効率はどの程度ですか?
現在主流のリチウムイオン蓄電池の放電効率は90%以上と高い水準を維持しています。これは充電した電力の90%以上を実際に使用できることを意味し、エネルギーロスを最小限に抑えた効率的な電力活用が可能です。ただし、インバーター等の周辺機器による電力変換ロスも考慮する必要があります。
この記事の監修者

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