エルピオでんきが2022年4月末にサービス停止【事業停止理由を解説】
今回はエルピオでんきのサービス停止について解説していきます。
新電力サービスの一つとして割安料金で電気を提供していたエルピオでんきですが、2022年4月末にサービスが停止してしまいました。
そこで本記事では、エルピオでんきの概要と合わせながら「なぜ事業停止してしまったのか」を解説していきます。
新電力サービスの利用を検討している方、または利用中の方におすすめの内容です。
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
株式会社エルピオとは
株式会社エルピオは1965年に設立された企業で、ガスや電気を中心としたエネルギーインフラ領域がメイン事業です。
元々はガス企業でしたが、現在は電力小売事業、光回線販売代理事業など、暮らしに関するインフラ販売を提供しています。
東京電力などに負けず劣らずのエネルギーインフラ企業です。
エルピオでんきとは?
エルピオでんきは株式会社エルピオが2016年4月からスタートさせた新電力サービスです。
一般的なケースよりも格安で電気を提供するサービスで、当時の段階で約50年の歴史を持つ企業であったことから、他企業に比べても信頼性が高いことが特徴でした。
しかし、後ほど紹介する理由により2022年4月末にサービス提供が終了。
最終的に2022年5月31日をもって事業を完全停止しました。
エルピオでんきが事業停止した理由
エルピオでんきが事業停止した理由は以下の3つです。
- 発電燃料の高騰
- ロシアのウクライナ侵攻
- 福島県沖での地震
それぞれ解説していきます。
理由①:発電燃料の高騰
エルピオでんきが事業停止した理由としてまず考えられるのが発電燃料の高騰です。
読売新聞によると、国内電力大手の火力発電の燃料費と、ガス大手の都市ガス原料費の合計が2020年度では約3.7兆円だったのに対し、2021年度では約5.8兆円となっています。
これは前年度比約54%の増加です。
また、電気代には燃料費調整額というものが含まれており、これは海外の燃料価格や為替レートによって推移します。
そして現在、海外での発電燃料価格が高騰していることで、燃料費調整額が増加しているのです。
関西電力で見てみると、2022年1月の燃料費調整単価が1kWhにつき1.15円だったのに対し、2022年12月では9.72円になっています。
以上のことから、発電燃料の高騰による格安の電気代が提供できなくなったことから、エルピオでんきが事業停止したと考えられるでしょう。
理由②:ロシアのウクライナ侵攻
では一体なぜ発電燃料の価格が高騰したのでしょうか。
その最大の理由として考えられているのが、ロシアのウクライナ侵攻です。
この場合、エネルギー資源が豊富なロシアの発電燃料の供給が不安定になっていることが理由として挙げられます。
実際に2017年度の日本の輸入データを見ると、石油は全体の6%を、天然ガスは全体の9%をロシアから輸入しています。
また、当然のことながらロシアの発電燃料に頼っていたのは日本だけではありません。
特に地理的に距離が近かった欧州は、ロシアの発電燃料に依存していました。
そして今回のウクライナ侵攻で欧州はエネルギー不足に陥り、その結果、発電燃料の価格が高騰してしまいました。
理由③:福島県沖での地震
2022年3月に発生した福島県沖での地震も電気代高騰に直結しています。
今回の地震により火力発電所が一時停止となり供給が低下。
それに合わせて、想定を上回る気温低下により電力の需要が大きくなり、電気代が高騰しました。
エルピオでんきの事業停止が発表されたタイミングが2022年3月25日であったことを考えると、この福島県沖での地震が決定打になったのかもしれません。
今後の電気市場はどうなる?
それでは今後の電気市場は一体どうなるのでしょうか。
以下の3つの項目に分けて解説していきます。
- 電気代は高騰する
- 新電力の事業停止が加速するかも
- 蓄電池の需要が高まる
電気代は高騰する
まずここ数年は電気代が高騰すると思われます。
少なくともロシアのウクライナ侵攻が解決しない限り、電気代の高騰が治ることはないでしょう。
また、カーボンニュートラル達成のための再生可能エネルギー普及により、再エネ賦課金も高騰することが考えられます。
現在、日本は電気不足に陥っていますが、世論の影響もあり原子力発電所を稼働させることができない状況です。
その影響もあり、再生可能エネルギーに注目が集まっているものの、現状の技術では日本国内の電気を賄えられないと考えられています。
そのため「ここ数年間は電気代が高騰するだろう」というのが一般的な見立てです。
新電力の事業停止が加速するかも
エルピオでんきだけでなく、現段階でも様々な新電力サービスが事業停止まで追い込まれています。
なぜなら新電力サービスは電気を格安で提供することで成り立っているからです。
そして新電力サービスは自社で電気を開発しているのではなく、日本卸電力取引所(JPEX)から、大手電力が余らせた電気を安く購入することで事業を成り立たせてきました。
しかし今後も、JPEXから安く電力を購入することができなくなるようであれば、新電力サービスの経営が苦しくなる一方です。
そのため、適切なリスク管理を実施するのであれば、新電力サービスを停止させるのが懸命な手段になります。
蓄電池の需要が高まる
以上のように「今後数年間は電気代が高騰するだろう」というのが一般的な見立てであり、これからも電気代はどんどん高騰していきます。
そこで注目されているのが蓄電池です。
電気代が高騰しているとはいっても、やはり現状の電力供給システムは効率的なものではなく、無駄があります。
その無駄の部分を最大限効率化できるとされているのが蓄電池です。
蓄電池を利用すれば、電気の需要が比較的小さい夜間の電力を蓄電することができます。
そのため、今後の電気市場では、蓄電池や電気自動車の需要が大きくなっていくのではないでしょうか。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- エルピオでんきは2022年4月にサービス停止
- エルピオでんきがサービスを停止させた理由として①発電燃料の高騰、②ロシアのウクライナ侵攻、③福島県沖での地震が考えられる
- 今後数年間は電気代が高騰するだろうと考えられる
2022年3月にエルピオでんきがサービス停止を発表した後、2022年4月までに電力会社を切り替える必要がありました。
しかし2022年4月末になっても多くの人が電力会社の切り替えを申請しておらず、エルピオでんきは2022年5月までサービスを継続したという経緯がありました。
これはおそらく利用者が「どの電力会社にすればいいかわからない」という不安によるものだと考えられます。
今後も新電力サービスが停止する可能性は十分考えられるので、しっかり情報収集しておいて、素早く対応できるようにしましょう。
▼関連記事はこちら
この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。
光熱費削減コンサルタント
中田 萌ご相談やお見積もりは
完全無料です!