近隣苦情も解消!太陽光パネル反射光の事例や対策法を伝授
太陽光パネルの反射光の問題は、時に法的な問題に発展することがあります。
争いごとを避けるためには事前に対策が必要です。
今回は、太陽光による反射光トラブルの実際の事例や対策方法についてわかりやすく解説します。
目次
なぜ?太陽光パネルの反射で苦情を引き起こすのか?
太陽光パネルの反射が近隣で問題になるのは、太陽の光がパネルに当たり、その光が反射して周りに拡がるからです。
特に、以下のような状況が重なると、反射光に対する苦情が増えることがあります。
住宅は太陽光パネルよりも上の場所にある
太陽光パネルが住宅よりも高い場所にあると、太陽からの光がパネルに当たって反射します。
反射光が強くなると、まばゆく感じたり、住民が不快に感じたりすることで、反射光の問題が住宅の生活に影響を与える可能性があります。
太陽光パネルがある場所に丘や急な坂がある場合は、反射光の影響を受けやすくなるので設置は避けるべきです。
ただし、同じ高さの家なら、太陽光パネルからの反射光が住宅やその周りに直接当たることは少ないでしょう。
太陽光パネルの傾きが問題
太陽光パネルを急な角度で設置すると、反射光の問題が増えやすくなります。
日本の家の屋根は通常16~31度ほど傾斜していますが、太陽の高さは季節によって変わります。
太陽光パネルを50度以上にすると、太陽光が強く当たるので、反射光が増えやすくなります。
設置する際には屋根や地域の条件を考えて最適な角度を選ぶと、眩しさを押さえつつ太陽光を有効的に利用できるでしょう。
急勾配の屋根
急勾配の屋根は、太陽光が低い角度から当たりやすく、光が地上に向かいやすくなります。
急な勾配の屋根に太陽光パネルを設置すると、反射する面積が広がり、家全体が反射光の影響を受けやすくなります。
適切な対策を取らないと、反射光が周りの建物や環境に悪影響を与え、近隣住民との問題が起こる可能性があります。
地元の法律や建設規制にも気を付けつつ、太陽光発電の導入を検討することが大切です。
北向きに太陽光パネルを設置
北向きの屋根は太陽光が直接当たらないため、発電量が南向きに比べて低くなります。
南向きの屋根は100%の日射を得られますが、北向きだと半分程度になり、初期費用の回収には時間がかかります。
そのため、メーカーや販売店は北向きの屋根に対して設置をすすめていません。
どうしても、北向きの屋根を検討する際には、発電量の低さとコストのバランスを考える必要があります。
反射苦情から見える!太陽光発電のトラブル実例
太陽光パネルの反射光の課題は、ふだんのニュースではあまり注目されていませんが、テレビや新聞などのメディアで話題にされています。
そこで、実際にあった太陽光発電のトラブル事例を3つ紹介します。
兵庫県姫路市メガソーラーのトラブル事例
姫路市の住民が「姫路ソーラーウェイ」の太陽光発電所に反射光や熱の問題で330万円の損害賠償と一部パネルの撤去を求め、2015年9月に訴訟を起こしました。
その後、2017年7月に和解の可能性が浮上しましたが、11月30日に原告が都合で訴えを全て取り下げ、被告側もこれに同意したのです。
その結果、裁判や和解は行われず、「取り下げ」という形で事件は終結。
姫路の事件では、太陽光発電所が植栽で反射光の問題が軽減されましたが、裁判所は被害が制限されていると判断し、太陽光パネルの撤去判決はむずかしいとされました。
(参照:日経クロステック |「メガソーラーの反射光で熱中症!?」、姫路訴訟のてん末)
神奈川県横浜市新築住宅のトラブル事例
横浜市の新築住宅の屋根に設置した太陽光パネルが反射光で、隣の建物の所有者が利用に支障をきたしました。
隣の所有者は、建物の施主にパネルの撤去を求め、同施主と建物工事をした会社には損害賠償を求めたのです。
工事を引き受けた企業は、太陽光パネルを建物の北側に設置する際、法律や規制がなく業界でもほとんど例がない、珍しいケースだと主張しました。
しかし主張は認められず、隣の建物所有者は太陽光パネルの撤去と110万円の損害賠償、遅延損害金支払いが命じられたのです(横浜地裁、2012年4月18日判決)。
環境への配慮が高まる中で、宅建業者としてはこのような事例を考慮すべきだと言えます。
近隣トラブルを削減!反射光の対策ポイント
近隣トラブルを防ぐには、太陽光発電の反射光に対する対策が必要です。
対策を実践することで、周囲への影響を最小限にし、良好な近隣関係を維持しましょう。
パネルの角度を最適化する
太陽光パネルの角度を地域に合わせることは非常に重要です。
なぜなら、地域ごとに太陽光パネルの最適な角度が異なるからです。
北の地域ではパネルを高い角度で取り付けると効果的であり、一方で南の地域では低い角度が適しています。
通常、太陽光パネルは基本的に南向きに配置され、屋根の傾斜角度は30度が最も効率的です。
反射光のシミュレーションする
シミュレーションを使って、最適な場所を見つけたり、問題を予防したりできます。
販売店や工事業者は、太陽光パネルの設置場所に影響する光反射のシミュレーションを提供しています。
一般的には、周囲の環境を3DモデルやGISデータを使って調査し、太陽光パネルの設置に伴う影響や反射光を予測します。
これにより、システムの計画や問題への対策が効果的に行え、投資の効果を最大化できます。
調査と提案ができる業者を選ぶ
太陽光パネルを販売する店や取り付け業者は、必ず設置予定の場所を実際に訪れて調査してくれます。
現地調査は、太陽の動きや周囲をチェックして、最適な発電場所を見つけるために重要です。
建物や周囲のものが影響を与える可能性があるので、現地で確認することで最適な設置場所を決められます。
業者を選ぶ際には、複数の業者に見積もりを依頼し、価格だけでなく、対応や提供サービス、保証も比較して選びましょう。
特殊加工の太陽光発電を利用する
太陽光パネルのガラス表面に特殊なコーティングを施すことで、特定の波長の太陽光をほぼ変えずに、反射を抑え発電量に貢献できます。
「日経XTECH」によると、特殊加工を加えることで、発電量が約3%増加するそうです。
DSMは反射防止コーティングの分野で業界トップで、大手太陽光パネルメーカーによく利用されています。
近隣住民から事前に承諾を得る
太陽光発電を始める前に、近隣住民から設置の承諾を得ることが大切です。
事前に太陽光パネルの設置に了解を得ておくことで、裁判になるリスクを低減できるからです。
反射光以外にも、騒音や屋根からの雪などの問題もあるので、長く使い続けるならこれらも考えて検討が必要です。
反射トラブルは対策次第!安心して太陽光パネルを楽しもう
今回は、太陽光パネルの反射光の実例や対策法まで紹介しました。
ふだんのニュースではあまり目立たない反射光の問題も、時には法廷トラブルにまで発展することがあります。
反射光トラブルを避けるには、家にぴったりな太陽光パネルを設置することが大切です。
ぜひ、太陽光パネルの導入をお考えの際は、専門業者の調査や提案を受けて、シミュレーションを通じて具体的なサポート内容を確認してみてください。
この記事の監修者
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太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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