太陽光発電の「PV」とは?意味や使い方、基本を解説!

太陽光発電について調べていると、「PV」というアルファベットの略語を目にすることがありませんか? 「PVパネル」「PVシステム」といった言葉を見かけて、「これってどういう意味なんだろう?」「ソーラーとは違うの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。この記事では、太陽光発電の分野でよく使われる「PV」という言葉の意味や由来、具体的な使われ方、そして関連用語などを分かりやすく解説します。
目次
「PV」は何の略?その意味を理解しよう
まずは、この「PV」という略語が何の言葉の略で、どのような意味を持っているのか、基本から押さえましょう。
PV = Photovoltaic(フォトボルタイック)の略
PVとは、英語の「Photovoltaic(フォトボルタイック)」という単語の略称です。 この “Photovoltaic” は、二つの部分から成り立っています。
- “Photo-“(フォト): ギリシャ語で「光」を意味する言葉に由来します。写真(Photograph)のフォトと同じ語源です。
- “-voltaic”(ボルタイック): 電圧の単位である「ボルト(Volt)」に関連する言葉で、「電圧の」「電気の」といった意味合いを持ちます。イタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタの名前に由来します。
この二つを組み合わせた “Photovoltaic” は、直訳すると「光起電力の」という意味になります。具体的には、物質(特に半導体)に光が当たることによって、その物質内部に電圧が発生し、電気が流れる現象、すなわち「光起電効果(こうきでんこうか)」と呼ばれる物理現象を指します。
太陽光発電は、まさにこの光起電効果を利用して、太陽の光エネルギーを直接、電気エネルギーに変換しています。そのため、太陽光発電の技術そのものや、それに関連する機器、産業分野などを指す際に、専門的な用語としてこの「Photovoltaic」やその略称である「PV」が世界中で広く使われているのです。
「太陽光発電」との関係
つまり、PV(Photovoltaic)は、太陽光発電を実現するための基本的な技術原理を指す言葉である、と理解することができます。「太陽光発電」や「ソーラー発電」という言葉が、太陽の光を利用して電気を作り出すという行為や、システム全体をより広く、一般的に指すのに対して、「PV」はその中でも特に「光から電気への直接変換技術」という側面を強調するニュアンスを持っています。
日常的な会話や一般的な説明では、「太陽光発電」や「ソーラー」といった言葉を使う方が分かりやすいことが多いでしょう。しかし、製品の技術的な仕様(スペック)を説明したり、業界の専門的なニュースや研究開発について述べたりする際には、「PV」という言葉が正確性を期すために頻繁に用いられます。「PV=太陽光発電(の技術)」と覚えておくと、様々な情報に触れる際に理解が深まります。
「PV」が使われる主な用語と具体例
では、実際に「PV」はどのような言葉と組み合わせて使われているのでしょうか? 太陽光発電システムについて調べたり、業者と話をしたりする中で出会う可能性のある、主な「PV用語」とその意味を具体例とともにご紹介します。
PVパネル / PVモジュール (太陽光パネル)
太陽光発電システムの心臓部とも言える「太陽光パネル」は、英語圏や技術文書では「PV Panel(ピーブイ・パネル)」または「PV Module(ピーブイ・モジュール)」と表記されることが非常に多いです。
日本語では「太陽光パネル」「ソーラーパネル」「太陽電池モジュール」など様々な呼び方がありますが、これらは基本的に同じものを指しています。小さな発電素子である「太陽電池セル(PV Cell)」をたくさん繋ぎ合わせ、屋外の厳しい環境でも長期間耐えられるように、強化ガラスや樹脂、アルミフレームなどで頑丈にパッケージングしたものがPVパネル(PVモジュール)です。
製品の型番や仕様書、性能比較表などで「PV Module Efficiency(PVモジュール効率=発電効率)」といった形で目にすることがよくあります。
- 例:「This company is a leading manufacturer of high-efficiency PV modules worldwide.」(この会社は、高効率PVモジュールの世界的な主要メーカーです。)
PVシステム (太陽光発電システム)
太陽光パネル(PVパネル)だけでなく、発電した電気を使える形に変換するパワーコンディショナ(PVインバーター)、パネルを設置するための架台、配線を集める接続箱、ケーブル類など、太陽光発電に必要な機器一式を組み合わせたシステム全体を指す言葉として、「PV System(ピーブイ・システム)」または「Photovoltaic System(フォトボルタイック・システム)」が使われます。
これは、日本語の「太陽光発電システム」とほぼ同義です。「Solar Power System」という表現も広く使われますが、「PV System」は、より技術的な側面を意識した表現と言えるかもしれません。
- 例:「We specialize in the design and installation of residential PV systems.」(私たちは住宅用PVシステムの設計と設置を専門としています。) ※specialize in = ~を専門とする, residential = 住宅用
PV発電 (太陽光発電)
電気を作り出す行為としての「太陽光発電」そのものを指す場合、「PV Power Generation」や、よりシンプルに「PV Generation」と表現することができます。「Solar Power Generation」と同じ意味合いですが、やはり技術的なニュアンスを含む表現です。また、文脈によっては単に「PV」だけで「太陽光発電」という意味で使われることもあります。
- 例:「The cost of PV generation has been steadily decreasing.」(PV発電のコストは着実に低下しています。) ※steadily decreasing = 着実に低下している
- 例:「Government subsidies are available for promoting PV adoption.」(PV導入を促進するための政府補助金が利用可能です。) ※subsidies = 補助金, adoption = 導入
その他(PVセル、PVインバーターなど)
さらに、より細かい構成要素や関連機器、分野などを指す際にも「PV」という言葉が接頭辞のように用いられます。
- PV Cell(PVセル): 太陽電池セル。太陽光パネルを構成する最小の発電単位。
- PV Inverter(PVインバーター): PVシステム用のパワーコンディショナのこと。海外では「Inverter」という呼び方が一般的です。
- PV Array(PVアレイ): 複数のPVモジュール(パネル)を架台に設置し、電気的に接続した状態の集合体。
- PV Market(PV市場): 太陽光発電に関連する製品やサービスの市場全体。
- PV Industry(PV産業): 太陽光発電に関連する産業界全体。
このように、「PV」は太陽光発電技術に関連する非常に多くの場面で使われる基本的なキーワードとなっています。
なぜ「PV」という言葉が使われるのか?
「太陽光発電」や「ソーラー」といった、より身近で分かりやすい言葉があるにも関わらず、なぜわざわざ「PV」という少し専門的な用語が使われるのでしょうか? それにはいくつかの理由があります。
技術的な正確性:光電変換技術を指す
最大の理由は、「PV(Photovoltaic)」が「光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する技術(光起電効果)」そのものを、他の太陽エネルギー利用技術と区別して、正確に指し示すことができる言葉だからです。
太陽のエネルギーを利用する方法には、PV(光→電気)以外にも、太陽の「熱」を利用してお湯を作る「太陽熱温水器(Solar Water Heater)」や、太陽の熱を集めてタービンを回し発電する「太陽熱発電(Solar Thermal Power Generation)」といった異なる技術が存在します。これらと明確に区別し、「光」から「電気」への直接変換技術について述べていることを示すために、「PV」という専門用語を用いることで、技術的な誤解を防ぎ、正確なコミュニケーションを図ることができます。特に技術者や研究開発者、業界関係者の間では、この技術的な正確性の観点から「PV」という言葉が好んで使用されます。
国際的な共通言語としての役割
「Photovoltaic (PV)」は、太陽光発電技術に関する世界共通の専門用語として広く認知され、使用されています。太陽光発電技術は、日本国内だけでなく、世界中の国々で研究開発が進められ、導入が拡大しています。そのため、国際的な学会や展示会、技術標準規格(IECなど)、海外メーカーの製品仕様書、国際的な市場レポートなど、グローバルな情報交換やビジネスの場面では、「PV」を用いるのが標準となっています。海外の最新技術動向や製品情報を調べる際にも、「PV」というキーワードを知っていることは、より多くの、そして正確な情報にアクセスするために役立ちます。
簡潔性:略語としての便利さ
これは副次的な理由かもしれませんが、「Photovoltaic」という単語自体が長いため、その略語である「PV」が、単純に簡潔で便利であるという側面もあります。「太陽光発電システム」を「PVシステム」、「太陽光パネル」を「PVパネル」のように、より短く表現できるため、特に技術文書や図表などで繰り返し使用される場合に好まれます。日常会話レベルでは「ソーラー」の方が一般的かもしれませんが、専門的な情報に触れる際には、「PV」が何の略で何を指しているかを知っておくと、内容の理解が格段にスムーズになります。
まとめ:「PV」を知って太陽光発電への理解を深めよう
この記事では、太陽光発電の分野で頻繁に登場する「PV」という略語について、その意味や由来、具体的な使われ方などを解説しました。
- PV は Photovoltaic(フォトボルタイック) の略。
- 意味は「光起電効果(光を直接電気に変える現象・技術)」。
- PVパネル(太陽光パネル)、PVシステム(太陽光発電システム) のように使われる。
- 「ソーラー」よりも技術的・専門的なニュアンスが強く、国際的にも使われる。
- PVを理解することで、製品仕様や技術情報への理解が深まる。
「PV」は少し専門的に聞こえるかもしれませんが、その意味を知ることで、太陽光発電に関する情報がより身近に、そして深く理解できるようになるはずです。製品選びや情報収集の際に、ぜひ役立ててください。
太陽光発電と「PV」に関するQ&A
「PV」について、疑問に思いやすい点をQ&A形式でまとめました。
Q1. 「PV」と「ソーラー」はどう違いますか?
回答:「ソーラー(Solar)」は「太陽の~」という意味の広い言葉で、太陽エネルギー利用全般に使われます。一方、「PV(Photovoltaic)」は、太陽光を直接電気に変える「光起電効果」という特定の技術原理を指します。つまり、PVはソーラーよりも技術的に限定された専門用語です。太陽光発電を指す場合、日常会話ではどちらでも通じることが多いですが、技術的な文脈ではPVが好まれます。
Q2. 家庭用太陽光発電を選ぶとき、「PV」を気にする必要はありますか?
回答:一般の方が製品を選ぶ際に、「PV」という言葉自体を過度に意識する必要はありません。 カタログ等では「太陽光パネル」など分かりやすい言葉が使われます。ただ、仕様詳細を見る際に「PVモジュール効率」などと出てくることがあるので、「PV=太陽光発電技術のこと」と知っておくと理解がスムーズです。
Q3. 太陽光パネルの種類(単結晶など)とPVの関係は?
回答:単結晶シリコン、多結晶シリコン、化合物系などは、すべてPV(光起電効果)を利用して発電する PVパネル(太陽電池)の種類です。材料や構造の違いによって、発電効率や価格などが異なります。これらはすべてPV技術のカテゴリーに含まれます。
Q4. PVと太陽熱温水器は違いますか?
回答:はい、全く異なります。 PVは太陽の「光」を「電気」に変えますが、太陽熱温水器は太陽の「熱」で「お湯」を作ります。利用するエネルギー(光か熱か)と生成物(電気かお湯か)が根本的に違います。PVという言葉は太陽熱利用には通常使いません。
Q5. 最新のPV技術にはどんなものがありますか?
回答:現在、発電効率を高める技術として、PERC技術、ヘテロ接合技術、バックコンタクト技術などが主流です。さらに次世代技術として、軽量・柔軟・低コストが期待されるペロブスカイト太陽電池などの研究開発が世界中で進められています。PV技術は日々進化しています。
この記事の監修者

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