太陽光パネルの修理費用相場は?故障原因と保険・保証適用の判断基準を徹底解説

太陽光発電システムを設置して数年が経過し、「最近、発電量が減ってきた気がする」「モニターにエラーが表示された」といった不安はありませんか。太陽光パネルや関連機器は高額なため、修理費用がいくらかかるのか心配になる方も多いでしょう。
結論から言えば、太陽光パネルの修理費用は故障原因と箇所により数万円から数十万円と幅広く、まずは火災保険やメーカー保証が適用できないか確認することが最優先です。
この記事では、太陽光パネルの修理費用の相場、故障の主な原因、そして高額な出費を避けるための保険・保証の活用法について、専門家の視点で詳しく解説します。
- 故障原因の特定:修理費用の負担者(自己負担か、保険・保証か)を決めるため、故障原因(自然災害、経年劣化、初期不良)の特定が重要です。
- 箇所別費用相場:パネル1枚の交換は10万円前後、パワコン交換は20万〜40万円程度が目安ですが、足場代や調査費用が別途かかる場合があります。
- 保険・保証の確認:自然災害なら「火災保険」、製品不良なら「メーカー保証」、施工不良なら「施工保証」の対象となる可能性があります。
目次
第1章:太陽光パネル故障のサインと主な原因
太陽光パネルの修理費用を考える前に、まずは「本当に故障しているのか」を見極める必要があります。ここでは、故障の代表的なサインと、修理費用の負担に関わる主な原因について解説します。
故障を疑うべき「発電量低下」のサイン
太陽光パネルは屋根の上にあるため、目視での異常発見は困難です。最もわかりやすいサインは、室内モニター(またはスマートフォンアプリ)に表示される「発電量」の低下です。
- 発電量モニターの急激な低下:天候が晴れであるにもかかわらず、例年の同月や前日と比較して明らかに発電量が少ない場合、何らかの不具合が考えられます。
- モニターのエラーコード表示:パワーコンディショナが異常を検知すると、モニターにエラーコードが表示されます。取扱説明書を確認し、内容(例:「電圧上昇抑制」「絶縁抵抗低下」など)を記録しておきましょう。
発電量は季節や天候、日射時間によって変動するため、一時的な低下と故障を混同しない注意も必要です。しかし、明らかな異常が続く場合は点検を依頼すべきです。
修理費用の負担を左右する「3つの故障原因」
修理費用が自己負担になるか、保険・保証でカバーできるかは、故障原因によって決まります。原因は大きく以下の3つに分類されます。
- 自然災害(保険適用の可能性)台風による飛来物でパネルが割れた、落雷でパワコンが故障した、積雪の重みで架台が歪んだ、雹(ひょう)でパネルが損傷した、などが該当します。これらは火災保険(住宅総合保険)の補償対象となる可能性が高いです。
- 経年劣化(保証適用の可能性)設置から長期間が経過し、部品が寿命を迎えるケースです。代表的なのはパワーコンディショナ(寿命10年〜15年)の故障です。また、パネル本体も「ホットスポット」や「PID現象」と呼ばれる出力低下を起こすことがあります。これらはメーカーの「出力保証」の範囲内であれば無償交換の対象となる場合があります。
- 初期不良・施工不良(保証適用の可能性)製品自体の初期不良(メーカーの「製品保証」対象)や、設置工事の不備による雨漏り、ケーブル接続不良など(「施工保証」対象)です。設置後数年以内に発生することが多いですが、施工不良は数年経ってから発覚するケースもあります。
章のまとめ:
発電量の急激な低下やエラーコードは故障のサインです。修理費用を考える上で、原因が「自然災害」「経年劣化」「初期不良」のどれに該当するかを見極め、保証書や保険証券を確認することが最初のステップとなります。
第2章:【箇所別】太陽光パネル・システムの修理費用相場
太陽光発電システムは、パネル(モジュール)本体だけでなく、パワーコンディショナ(パワコン)、架台、ケーブルなど複数の機器で構成されています。修理費用は、どの箇所が故障したかによって大きく変動します。
点検・調査費用
まず、故障の有無や原因を特定するための点検・調査費用が発生します。専門の機材(サーモカメラや絶縁抵抗計など)を用いた点検が必要な場合、1回あたり2万円~5万円程度が目安です。
ただし、修理をそのまま依頼する場合は、調査費用が修理費用に含まれる(実質無料になる)ケースもあります。
太陽光パネル・パワコン・その他機器の修理費用目安
実際の修理・交換にかかる費用相場を以下の表にまとめます。ただし、これらはあくまで目安であり、現場の状況(屋根の形状、必要な足場の有無)によって変動します。
| 故障箇所 | 修理内容 | 費用相場(目安) | 補足(前提条件) |
|---|---|---|---|
| 太陽光パネル | パネル1枚の交換 | 100,000円~200,000円 / 枚 | パネル本体代(5万~15万円)+交換工事費。足場設置時は別途15万~30万円程度。 |
| パワーコンディショナ | 基板修理・部品交換 | 50,000円~100,000円 | メーカー保証期間外で、軽微な故障の場合。 |
| パワーコンディショナ | 本体交換 | 200,000円~400,000円 | 機器本体代+交換工事費。容量(kW)や機能により変動。 |
| ケーブル・接続箱 | 配線の修理・交換 | 30,000円~100,000円 | 断線や接続不良、防水処理の劣化など。 |
| 架台 | サビ補修・ボルト増締 | 30,000円~80,000円 | 軽微なメンテナンスの場合。 |
| 架台 | 架台の部分・全体交換 | 100,000円~(応相談) | 積雪や強風による歪みなど。規模により大きく変動。 |
上記で最も注意すべきは「足場代」です。太陽光パネルの交換など、屋根上での作業が必要な場合、安全確保のために足場の設置が必須となるケースが多く、修理費用全体を押し上げる要因となります。
章のまとめ:
太陽光パネルの修理費用は、パネル1枚の交換で10万円以上、パワコン交換で20万円以上が目安となります。高所作業が必要な場合は、別途高額な足場代がかかることを想定しておく必要があります。
第3章:修理費用に使える?火災保険とメーカー保証の適用判断
高額になりがちな太陽光パネルの修理費用ですが、全額を自己負担する必要がないケースも多くあります。ここでは「火災保険」と「メーカー保証・施工保証」という2つの重要なセーフティネットについて解説します。
ケース1:自然災害の場合 →「火災保険」の適用
第1章で触れた通り、故障原因が台風、落雷、積雪、雹(ひょう)、飛来物などによる「自然災害」である場合、加入している住宅用の火災保険(住宅総合保険)が適用できる可能性が高いです。
- 対象範囲:火災保険では、一般的に「建物」または「家財」を補償対象とします。屋根に設置された太陽光パネルは「建物」または「建物付属物」として扱われるため、補償対象に含まれます。
- 注意点(1) 地震:地震や津波、噴火による損害は火災保険の対象外です。これらによる故障は別途「地震保険」への加入が必要です。
- 注意点(2) 免責金額:保険契約によっては「免責金額(自己負担額)」が設定されている場合があります(例:損害額のうち5万円は自己負担、など)。
- 注意点(3) 経年劣化:経年劣化による故障は自然災害ではないため、火災保険の対象外です。
保険を申請する際は、被害状況の写真、修理業者の見積書、罹災(りさい)証明書(必要な場合)などを保険会社に提出する必要があります。
ケース2:製品不良・施工不良・経年劣化の場合 →「各種保証」の適用
自然災害以外の場合は、太陽光発電システムに付帯する各種「保証」が適用できるかを確認します。保証は主に3種類あります。
- メーカー製品保証(10年~15年程度)太陽光パネル、パワコン、架台など、機器(製品)自体の製造上の不具合(初期不良など)を保証するものです。保証期間内であれば、メーカーの責任で無償修理・交換が行われます。
- メーカー出力保証(20年~25年程度)太陽光パネルの「出力(発電性能)」を長期間保証するものです。例えば「25年間で公称最大出力の80%を下回らない」といった内容です。経年劣化によりこの基準値を下回った場合、無償での点検、修理、または交換の対象となります。
- 施工保証(5年~15年程度)設置工事を行った施工店(販売店)が独自に提供する保証です。設置工事の不備による故障(例:ケーブルの接続不良、架台の設置ミス)や、工事が原因の雨漏りなどが対象です。
まずは手元の保証書を確認し、設置した施工店に連絡して「どの保証が適用できそうか」を相談するのが最も早い解決策です。
保険や保証の適用判断は専門知識が必要です。申請サポートも含め、無料で「契約・保証」のセカンドオピニオンで確認しておくと安心です。 ※ご家庭の保険・保証内容に基づいたアドバイスが可能です。
章のまとめ:
修理費用が発生したら、まず「自然災害(火災保険)」か「製品・施工不良(メーカー・施工保証)」のどちらかに該当しないかを確認しましょう。経年劣化によるパワコン交換など、保証が切れている場合は自己負担となります。
第4章:太陽光パネル修理業者の選び方と注意点
太陽光パネルの修理を依頼する業者選びは非常に重要です。適切な業者を選ばないと、修理費用が高額になるだけでなく、最悪の場合、メーカー保証が失効するリスクもあります。
基本は「設置した施工店」への連絡
故障や不具合に気づいた場合、最初に連絡すべきは、その太陽光発電システムを設置した施工店(販売店)です。 理由は以下の通りです。
- 第3章で解説した「施工保証」の期間内である可能性があるため。
- システムの設計や設置状況を最もよく把握しているため。
- メーカーへの保証申請手続きなどを代行してもらえるため。
保証書や契約書を確認し、施工店の連絡先を調べましょう。
施工店が倒産・連絡不能な場合の探し方
残念ながら、設置した施工店がすでに倒産していたり、連絡がつかないケースもあります。その場合は、以下の方法で修理業者を探します。
- パネルのメーカーに相談する:ご自宅のパネルメーカー(シャープ、パナソニック、カナディアン・ソーラーなど)のサポート窓口に連絡し、事情を説明します。そのメーカーの認定施工店や、地域のメンテナンス対応が可能な業者を紹介してもらえる場合があります。
- 太陽光発電専門のメンテナンス業者を探す:他社が施工したシステムでも点検・修理を受け付けている専門業者も存在します。ただし、施工品質や費用は玉石混交のため、慎重な選定が必要です。
悪質な修理業者・点検商法に注意
太陽光発電の普及に伴い、「無料で点検します」と訪問してきたり、「火災保険を使えば無料で修理できる」と勧誘したりする悪質な業者が増えています。
- 保険金詐欺の勧誘:「経年劣化でも『台風のせい』ということにして保険申請しましょう」などと持ちかけるのは違法行為です。虚偽の申請に加担すると、契約者自身が詐欺罪に問われるリスクがあります。
- 不要な工事の勧誘:点検後、「パネルの汚れがひどい」「架台が危ない」などと不安を煽り、高額な洗浄サービスや不要な補強工事を契約させようとするケースです。
突然の訪問営業や、保険金の利用を過度に勧めてくる業者には絶対に関わらないようにしましょう。
DIY修理は絶対禁止
「パネル1枚だけだから」「ケーブルの接続だけだから」とご自身で修理(DIY)を試みるのは非常に危険です。
太陽光パネルは発電中、高電圧(直流600Vなど)を発生させています。知識のないまま触れると感電による死亡事故や、配線ミスによる火災に直結します。また、メーカー指定外の業者が修理を行うと、その時点でメーカー保証が失効してしまいます。修理は必ず専門の有資格者(電気工事士など)に依頼してください。
章のまとめ:
修理の第一歩は「設置した施工店」への連絡です。施工店が不明な場合はメーカーに相談しましょう。保険金利用を謳う訪問営業やDIY修理は重大なリスクを伴うため、絶対避けてください。
太陽光パネルの修理費用に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 太陽光パネルの修理費用、大まかな相場は?
太陽光パネルの修理費用は、故障箇所と原因によって大きく変動します。パネル1枚の部分的な修理や交換(ガラスのひび割れ等)であれば10万円~20万円程度(足場代別途)が目安です。
パワーコンディショナの交換は20万円~40万円程度、ケーブルや接続箱の修理は数万円~10万円程度が相場となります。ただし、まずは点検・調査費用(数万円)が発生するのが一般的です。
※金額はあくまで目安です。足場の要否や機器のグレードによって変動します。
Q2. 太陽光パネルの修理に火災保険は使えますか?
はい、故障原因が「自然災害」に該当する場合、火災保険(住宅総合保険)が適用される可能性が高いです。
具体的には、台風による飛来物での破損(風災)、雹(ひょう)によるパネル割れ(雹災)、積雪による架台の歪み(雪災)、落雷によるパワコンの故障(雷災)などが対象です。
ただし、地震や津波による破損は火災保険の対象外(別途、地震保険が必要)であり、経年劣化も対象外です。免責金額(自己負担額)が設定されている場合もあるため、保険証券の確認が必要です。
Q3. 太陽光パネルの一般的な寿命(耐用年数)は?
太陽光パネル(モジュール)自体の物理的な寿命は非常に長く、一般的に20年~30年とされています。法定耐用年数(税務上の資産価値)は17年と定められています。
多くのメーカーが10年~25年程度の「製品保証」や「出力保証」を付けています。一方、発電した電気を家庭用に変換するパワーコンディショナは、パネルより寿命が短く、10年~15年程度で交換が必要になるケースが多いです。
※耐用年数内であっても、自然災害や外的要因で修理が必要になることはあります。
Q4. パワコンの交換費用はどれくらい?
パワーコンディショナ(パワコン)の修理・交換費用は、故障の程度によります。内部の基板修理などで済む場合は5万円~10万円程度が目安です。
本体(筐体)ごと交換する場合は、機器本体の価格と工事費を含め、20万円~40万円程度が相場となります。メーカー保証期間内(多くは10年~15年)であれば、無償で修理・交換できる可能性が高いです。
※費用はパワコンの容量(kW)や蓄電池連携機能の有無などによって変動します。
Q5. 修理業者はどう選べばいい?
太陽光パネルの修理業者を選ぶ際は、まず「設置工事を行った施工店」に連絡するのが基本です。施工店独自の「施工保証」(5年~15年程度)の対象となる可能性があるためです。
もし施工店が倒産していたり、連絡がつかない場合は、パネルのメーカーに相談して地域の認定施工店を紹介してもらうか、太陽光専門のメンテナンス業者を探します。
- 複数の業者から見積もり(相見積もり)を取る。
- 修理内容の内訳、費用、保証適用の可否をしっかり確認する。
- 「保険金で無料」などの勧誘を鵜呑みにしない。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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