燃料費調整額って何?しくみや上限などを徹底解説!
電気料金の請求書を見ると基本料金や電力量料金の他に「燃料費調整額」という項目があります。
この1年ほどは電気料金に上乗せされ、電気代が高くなる原因の一つとなっています。
本記事では電気料金の計算式やその基本知識や上限金額、上限を撤廃した理由と影響についてまとめます。
目次
電気料金の計算式
電気料金は基本料金、電力量料金、再エネ賦課金の合計金額で決定します。
式で表すと以下のとおりです。
- 電気料金=基本料金+電力量料金+再エネ賦課金
電気の基本料金は電気を使用してもしなくても必ず支払わなければならない料金です。
再エネ賦課金は再エネ普及のために電気料金に上乗せして徴収されているもので、毎年金額が異なります。
※再エネ賦課金についてはこちら↓
2023年は1kWhあたり1.4円でした。
電力量料金はさらに細かく分解できます。
- 電力量料金=(1kWhあたりの電力量料金単価×使用量)±(燃料費調整額単価×使用量)
これらは使用した電力量に応じて増減します。
燃料費調整額について理解しよう
ここでは概要や設定理由、マイナス調整、反映される時期などについてまとめます。
燃料費調整額とは
発電で使用する資源価格の変化を電気代に反映させる金額のことです。
火力発電は天然ガス・石炭・原油といった化石燃料を燃やして発電します。
そのため、天然ガスなどの値段が上がると電気代も上がってしまいます。
価格は世界の経済情勢や円安・円高などの為替レート、地政学的リスクなどによって大きく変動します。
2022年2月に起きたウクライナ戦争や2022年4月からの円安などが価格をおし上げる要因となりました。
設定されている理由
設定理由は、資源価格の変動が会社の経営に悪影響を及ぼさないためです。
電気料金(電力量料金)を変更するのは容易なことではありません。
変更するまでの間に資源価格が値上がりすれば、それだけ経営にダメージを受けます。
ダメージを最小限にするには電気代に資源価格の値上がり分を転嫁させなければなりません。
そのための仕組みだといえます。
決まり方
調整額は燃料費調整単価×1ヶ月の電力使用量で求められます。
では、計算のもとになる単価はどのようにして決まるのでしょうか。
単価は、平均燃料価格(過去の3ヶ月の原油・天然ガス・石炭の平均価格)から基準燃料価格を引いた金額を使って求めます。
基準燃料価格は、料金表の金額を設定するときに基準とした平均燃料価格のことです。
会社ごとに仕入価格や調達方法が異なります。
マイナス調整
加算されるだけではなく、差し引かれることもあります。
これを、マイナス調整といいます。
基準燃料価格よりも直近の平均燃料価格が安くなるとその分がマイナスになります。
実際、ウクライナ戦争前の2020年から2021年にかけての時期、調整額がマイナスとなっていることが多かったのではないでしょうか。
電気代に反映される時期
単価は毎月変更されますが、料金に反映されるのは2ヶ月後です。
たとえば、2023年6月から8月にかけての平均燃料価格によって算出された単価は9月ではなく11月分に反映されます。
すぐに反映されるわけではないので注意しましょう。
上限があるの?
調整額は資源価格が上がると際限なく上昇するのでしょうか?
そのようなことがないよう、かつては上限が設定されていました。ここでは上限設定や現在の状況について解説します。
上限とは
燃料調整単価は資源価格の平均で求められる平均燃料価格にもとづいて算出されるため、天然ガスなどの原材料が高騰すると、単価も上昇する仕組みとなっています。
しかし、電気代が急騰すると消費者に大きな影響を与えるため、これまでは基準価格の1.5倍までという上限が設定されていました。
上限の有無はプラン次第
2016年の自由化以後、電力会社は上限を設定するかしないか選択できるようになりました。
2022年からの価格高騰を踏まえ、事業者の中には上限を撤廃する動きが見られます。
実際、自由化以後に設定された自由料金プランのいくつかは上限を撤廃しています。
そのプランを選択していた場合、燃料費が高騰するとダイレクトに電気代が上がります。
一方、電力自由化以前からある大手電力会社の規制料金は上限が設定されています。
規制料金を変更するには経済産業大臣の許可が必要です。
資源の価格が高騰しても電気代に反映するには時間がかかるため、価格変動の影響を受けにくいといえます。
どちらの料金プランの方が自分のライフスタイルにあっているか考えたうえで、電力会社やプランを選択しましょう。
上限を撤廃した理由
2022年の夏以降、上限を撤廃する電力会社が増加しました。
なぜ、上限撤廃を行ったのでしょうか。その理由は天然ガスや石油・石炭価格の高騰にあります。
ウクライナ戦争前の2021年12月、すでにヨーロッパで天然ガス価格が高騰し始めていました。
これにウクライナ戦争の影響が加わったため短期間で天然ガス価格が暴騰しました。
同年3月には日本の主な購入先であるがアジアの天然ガス価格も高騰します。
ウクライナ戦争は石炭価格にも影響を与えます。
二酸化炭素を排出するという点で敬遠されがちだった石炭ですが、2021年から2022年にかけて価格が回復しています。
天然ガスと石炭という日本の火力発電の燃料として重要な資源の価格が高騰したため、電力会社が上限を維持することが困難となったのです。
上限撤廃による影響
上限が撤廃されると、天然ガスなどが高騰した時に料金も大幅に上昇することが予想されます。
その結果、上限を撤廃した料金プランと規制料金のように上限を維持した料金プランとの間で大きな差が生じることになるでしょう。
火力発電の割合が70%近くを占めている現状を踏まえると、燃料の価格が急上昇した時に電気代も上がるのは避けられないでしょう。
まとめ
今回は燃料費調整の基本知識や上限について解説しました。
電気料金のうち基本料金と電力量料金は改定するためにさまざまな手続きが必要なため、容易に変更できません。
そこで、燃料費調整額を活用して燃料価格の影響をダイレクトに電気代に反映できるようにしています。
とはいえ、あまりに急激な変動が起きると消費者に大きな混乱をもたらす可能性があります。
それを避けるために設定されていたのが燃料費調整額の上限でした。
ウクライナ戦争や円安の影響で燃料費が高騰している現在、一部には上限維持が困難となる電力事業者も現れました。
経営を安定化させるため上限を撤廃する動きが出始めています。
電力価格がこれまで以上に大きく変動しやすくなるため、価格動向になお一層の注意が必要です。
電気代の急騰を避けたいのであれば規制料金プランを選択したほうが良いですし、燃料費が落ち着いた時に低価格の恩恵を受けたいのであれば上限が撤廃されていても自由料金を選んだほうがよいでしょう。
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