太陽光発電をやめた方がいい?導入前に知るべき注意点

目次
太陽光発電導入で後悔する主な理由
太陽光発電システムの導入を検討する際、多くの方が期待する効果と現実のギャップに悩まされることがあります。導入前に十分な情報収集を行わなかったことが、後悔の最大の原因となっています。
初期費用の高さから始まり、期待していた発電量が得られない、メンテナンス費用が想定以上にかかるなど、様々な問題が発生する可能性があります。これらの課題を事前に理解することで、より良い判断ができるでしょう。
初期費用が想定以上に高額になるケース
太陽光発電システムの初期費用は、一般的な住宅用で100万円から300万円程度となることが多く、この金額が家計に与える影響は決して小さくありません。設置容量や屋根の状況によっては、さらに高額になることもあり、資金計画が狂ってしまう家庭も少なくありません。
特に、屋根の形状が複雑な場合や、追加工事が必要な場合には、当初の見積もりから大幅に金額が上がることがあります。また、住宅ローンとは別に太陽光発電用のローンを組む場合、月々の返済負担が重くのしかかることもあります。
発電量が期待値を下回る現実
カタログ値や営業担当者の説明では魅力的に見える発電量も、実際の設置環境では大きく異なることがあります。日照時間の短い地域や、周辺建物による影の影響、屋根の向きや角度などにより、期待していた発電量を得られないケースが多発しています。
特に、冬場の発電量低下は想像以上に大きく、年間を通じた実発電量が計算と大きく乖離することがあります。また、天候不順が続く年には、売電収入が大幅に減少することもあり、投資回収計画が大きく狂ってしまいます。
メンテナンス費用の負担
太陽光発電システムは設置して終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要です。パワーコンディショナーの交換費用は20万円から30万円程度かかり、設置から10年から15年程度で必要になることが一般的です。
また、太陽光パネルの清掃や点検、配線の確認なども定期的に行う必要があり、これらの費用も長期的には大きな負担となります。特に、高所作業が必要な場合には、専門業者に依頼する必要があり、その都度数万円の費用がかかることもあります。
売電価格下落による投資回収期間の延長
固定価格買取制度(FIT)による売電価格は年々下落しており、新規導入者にとって投資回収の魅力が薄れています。2012年には42円/kWhだった売電価格も、2025年現在では16円/kWh程度まで下落しており、投資回収期間が大幅に延長されています。
この価格下落により、以前なら10年程度で回収できた初期投資も、現在では15年から20年程度かかることが一般的となっています。さらに、固定価格での買取期間は10年間のみであり、その後は電力会社の任意価格での買取となるため、長期的な収益性に不安を感じる方も多いでしょう。
FIT終了後の売電価格への不安
固定価格買取制度の10年間が終了した後、いわゆる「卒FIT」となった太陽光発電設備の売電価格は大幅に下落します。多くの電力会社では7円から11円/kWh程度での買取となり、経済的メリットが大幅に減少することになります。
この状況を踏まえ、卒FIT後は蓄電池を導入して自家消費を増やすことが推奨されていますが、蓄電池の初期費用も100万円以上かかることが多く、追加投資の必要性に悩む方も少なくありません。
設備の劣化による発電効率低下
太陽光パネルは経年劣化により発電効率が徐々に低下していきます。一般的に年間0.5%から0.8%程度の出力低下があり、20年後には設置当初の85%から90%程度の発電量になることが予想されます。
この劣化により、設置から年数が経過するにつれて売電収入も減少していくため、投資回収計算が狂ってしまうことがあります。また、パネルの一部が故障した場合、その影響で全体の発電量が大幅に低下することもあります。
設置環境による制約と問題
太陽光発電システムの設置には、屋根の状況や立地条件など、様々な制約があります。築年数の古い住宅では屋根の補強工事が必要になることがあり、追加費用が100万円を超えることもあります。
また、住宅密集地では隣家の影響を受けやすく、期待した発電量を得られないことがあります。さらに、積雪地域では雪による発電量低下や、雪下ろしの際の安全性への配慮も必要となります。
屋根材や構造による設置制限
瓦屋根や特殊な屋根材の場合、太陽光パネルの設置が困難だったり、追加工事が必要になったりすることがあります。特に、瓦屋根への設置では防水処理に細心の注意が必要で、施工不良により雨漏りが発生するリスクもあります。
また、屋根の耐荷重によっては、パネルの設置枚数に制限が生じることもあり、当初計画していた発電容量を確保できない場合もあります。さらに、築年数の古い住宅では、屋根自体の補修や補強が必要になることもあります。
近隣トラブルのリスク
太陽光パネルからの反射光が隣家に迷惑をかけることがあり、近隣トラブルの原因となることがあります。特に、西向きに設置されたパネルからの夕方の反射光は、隣家の窓に直接入り込むことがあり、大きな問題となる可能性があります。
また、設置工事中の騒音や、業者の駐車による交通問題なども発生することがあります。これらのトラブルを避けるためには、事前の近隣への説明と了解を得ることが重要ですが、それでも完全にトラブルを避けることは困難な場合もあります。
悪質業者による被害事例
太陽光発電業界には残念ながら悪質な業者も存在し、高額な契約を迫ったり、不適切な施工を行ったりする事例が報告されています。訪問販売による強引な営業や、相場よりも大幅に高い価格での契約、アフターサービスの不備などの被害が後を絶ちません。
これらの被害を避けるためには、複数の業者から見積もりを取る、実績のある業者を選ぶ、契約内容を十分に確認するなどの対策が必要です。また、クーリングオフ制度の活用方法も事前に理解しておくことが重要です。
不適切な施工による問題
施工技術の不足や手抜き工事により、様々な問題が発生することがあります。配線の不備による火災リスク、防水処理の不良による雨漏り、パネルの固定不良による落下リスクなど、深刻な安全上の問題も報告されています。
また、施工後の点検が不十分で、問題があっても発見が遅れることがあります。これらの問題は、建物の損傷や人身事故につながる可能性もあるため、信頼できる業者選びは極めて重要です。
アフターサービスの不備
太陽光発電システムは長期間使用する設備であるため、アフターサービスの充実は不可欠です。しかし、一部の業者では設置後のサポートが不十分で、故障時の対応が遅い、メンテナンス費用が高額、連絡が取れないなどの問題が発生しています。
特に、保証期間中であっても、業者が倒産してしまった場合には保証を受けることができなくなります。そのため、業者選びの際には、会社の安定性や実績、保証内容の充実度も重要な判断材料となります。
太陽光発電を成功させるための対策
太陽光発電の導入で失敗しないためには、事前の十分な検討と準備が必要です。まず、自宅の立地条件や屋根の状況を正確に把握し、現実的な発電量の予測を行うことが重要です。
また、複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく施工実績やアフターサービスの内容も比較検討することが大切です。さらに、初期費用だけでなく、メンテナンス費用や将来の設備更新費用も含めた長期的な収支計画を立てることが必要です。
適切な業者選びのポイント
信頼できる業者を選ぶためには、いくつかの重要なポイントがあります。施工実績の豊富さ、有資格者の在籍状況、保証内容の充実度、地域での評判などを総合的に判断することが重要です。
また、見積もりの内容が詳細で分かりやすく、質問に対して丁寧に答えてくれる業者を選ぶことも大切です。さらに、契約を急かすような業者は避け、十分に検討する時間を与えてくれる業者を選ぶことが賢明です。
現実的な収支計画の立て方
太陽光発電の経済効果を正確に把握するためには、現実的な収支計画を立てることが不可欠です。発電量の予測は控えめに設定し、メンテナンス費用や設備更新費用も含めた長期的な計画を立てることが重要です。
また、売電価格の下落や卒FIT後の状況も考慮に入れ、自家消費率の向上策も検討することが必要です。蓄電池の導入や電気自動車の購入なども含めた総合的なエネルギー計画を立てることが、長期的な成功につながります。
まとめ
太陽光発電の導入には多くのメリットがある一方で、初期費用の高さ、発電量の不確実性、メンテナンス費用、悪質業者のリスクなど、様々な注意点があることも事実です。これらの課題を十分に理解し、現実的な計画を立てることで、太陽光発電を成功させることができます。
重要なのは、営業トークや理想的な数値に惑わされず、自宅の条件に合った現実的な判断を行うことです。また、信頼できる業者選びと、長期的な視点での収支計画が成功の鍵となります。太陽光発電は決して「やめた方がいい」システムではありませんが、慎重な検討と準備が必要な投資であることを理解して、賢い選択をしてください。
よくある質問と回答
Q1: 太陽光発電の初期費用はどのくらいかかりますか?
A1: 一般的な住宅用太陽光発電システムの初期費用は100万円から300万円程度です。設置容量や屋根の状況によって変動し、追加工事が必要な場合はさらに高額になることもあります。
Q2: 投資回収期間はどのくらいですか?
A2: 現在の売電価格(16円/kWh程度)では、15年から20年程度の投資回収期間となることが一般的です。以前と比べて売電価格が下落しているため、回収期間は延長されています。
Q3: メンテナンス費用はどのくらい必要ですか?
A3: パワーコンディショナーの交換費用として10年から15年程度で20万円から30万円程度が必要です。その他、定期点検や清掃費用も含めて年間数万円程度の維持費用がかかります。
Q4: 太陽光発電をやめた方がいい人はどのような人ですか?
A4: 日照条件の悪い立地、初期費用の負担が困難、短期間での回収を期待している、メンテナンスに関心がない、信頼できる業者が見つからない場合は導入を見直すことをお勧めします。
Q5: 失敗しないためにはどうすればよいですか?
A5: 複数業者からの見積もり取得、現実的な発電量予測、長期的な収支計画の策定、信頼できる業者選び、近隣への事前説明などが重要です。また、契約前に十分な検討時間を確保することも大切です。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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