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ソーラーシェアリングとは?メリットと問題点を紹介!

太陽光発電 2024年01月04日更新

「ソーラーシェアリングって何のことだろう。」

「最近聞くソーラーシェアリングのメリットを知りたい!」

このように考えている方はいませんか。

ソーラーシェアリングは農業と太陽光発電事業を両立しているものです。

環境問題などが世界で話題になっていますが、そんな中でソーラーシェアリングは注目を集めています。

今回は、ソーラーシェアリングについて理解を深めていきましょう。

ソーラーシェアリングはどういったもの?

ここでは、まずソーラーシェアリングの概要、次に設置条件、仕組み、収益性を紹介した後、メリットと問題点について触れていきます。

ソーラーシェアリングとは

まずはソーラーシェアリングとは一体どういったものかについて紹介します。

ソーラーシェアリングとは、別名で営農型太陽光発電と呼ばれています。

その名からわかるように、農地の上部に太陽光パネルを設置し、農業と太陽光発電事業を両立することを指しています。

1つの土地で2つの事業を行えることから、新しい農業のあり方として注目を集めています。

注目度合いとして、ソーラーシェアリングを設置するための農地転用許可数を見るとより理解できるでしょう。

平成25年では100件に満たなかったものが、平成30年には1992件と、右肩上がりに増えていっています。

仕組み

続いては、ソーラーシェアリングの仕組みについて見ていきます。

ソーラーシェアリングの仕組みにおいて理解しておくべきなのは農地の一時転用です。

農地の一時転用とは

農地の一時転用から見ていきます。

農地の用途を変更するためには、農地転用と呼ばれる手続きを取る必要があります。

アパートや駐車場を農地に建設するときに必要となります。

農地転用が行われると、その土地は農地ではなく、宅地や雑種地といった扱いとなり、土地の「地目」が変更となります。

その期限は設けられていません。

一方、ソーラーシェアリングを行う際には一時転用を行う必要があります。

農地の一時転用では、土地そのものは農地のままの扱いとなり、太陽光発電設備の支柱が設置されている部分だけ転用を行うといった、特別な扱いとなります。

この場合、支柱以外の部分では農業は続けられます。

土地の一部にだけ、一時的に使用するものなので、「地目」は農地のままです。

また、以前までは一時転用期間が3年とされており、3年ごとに申請を行う必要がありました。

しかし、近年は条件を満たし場合に限り、10年に延長されています。

そして、各地域にある農業委員会の許可が必要となりますが、農業委員会共通のガイドラインがないため、各地域に申請の内容や基準が変わっています。

新たにスタートする方にとっては少し障壁になっているでしょう。

一時転用に必要な条件

では、一時転用に必要な条件とはどういったものがあるのでしょうか。

国に保護されている農地を利用するため、ソーラーシェアリングの条件には以下のような厳しい決まりがあります。

  • 支柱は簡易的な構造かつ容易に撤去可能であり、面積は最小限で適正であること
  • 下部の農地において、収入・農作物の品質といった観点から適切に営農が継続されること
  • 農作物の生育に適したパネル配置となっており、効率的に農作業を行う空間が確保されていること
  • 周辺の農地の効率性、および農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼす恐れがないこと
  • 適切な営農が確保されない場合、改善措置に迅速に講じること
  • 営農または発電事業が廃止される場合、設備を速やかに撤去し農地を回復すること

*農林水産省「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取り扱いについて」抜粋・改編

また、撤去となりうる要件としては、

  • 農業が行われていない
  • 収穫された作物が同じ年・同地域の平均的な単収と比較して8割以上であること

が重要なものとしてあります。

しっかりとした農業の準備をしないでFITの売電収入のみに注目すると、撤去しなければならない事態に陥ります。

それは考えうる最悪の事態なので、しっかりとした営農計画を立てるようにしましょう。

収益性

ソーラーシェアリングを始めるにあたって、野立ての太陽光発電設備と同じようなシステムを設置します。

それに伴い、もちろん費用が発生しますが、収益性はどうなるでしょうか。

次はソーラーシェアリングの収益性について紹介します。

住宅向けよりも割高

まず初めに押さえておく必要があるのが、一般的な住宅の屋根につけるソーラーパネルよりもソーラーシェアリングの設備の方が割高になることです。

一般的なソーラーパネルの場合、架台部分が備わっています。

しかし、農地には元々建物がないため、架台部分の費用が必要になります。

また、工事そのものの難易度が上がるため、工事費が割高になるでしょう。

住宅向けのソーラーパネル工事と同じように考えていると、大幅なずれが生じるので注意しましょう。

実際の数値

実際にどのくらいの費用がかかり、いくら収入が増えるのか見ていきましょう。

太陽光発電の価格を平均的なものの20万円/kWで計算します。

1,500㎡の農地に50kWの太陽光発電を設置した場合、50kW×20万円=1,000万円となります。

つまり、初期費用が1,000万円かかるとしましょう。

では、収入はどのくらい入ってくるのでしょうか。

毎月の売電収入を計算するにあたって、設備利用率を考慮する必要があり、13%として計算します。

24h×365日÷12月×0.13=94.9h

50kW×94.9h×21円=99,645円

となり、おおよそ10万円が収入となります。

初期費用が1,000万円であることを考えると、10年近くで回収できます。

仮に20年間同じ条件で行えば、単純計算1,400万円の収益となります。

メリット

ここからは、ソーラーシェアリングのメリットを4つ見ていきましょう。

農業と売電のダブル収入

1つ目は、農業と売電のダブル収入があることです。

ソーラーシェアリングの特徴は何といっても農業と太陽光発電を行うことです。

つまり、これまで通り、農業の収入を確保しながら売電収入を得られます。

収入源が2つになるので、やはり魅力的ですね。

先ほど紹介した数値を例に取ると、年間で120万円が収入となります。

また、「農地」は「雑種地」や「宅地」よりも固定資産税が大幅に安くなるのも魅力です。

地目が「農地」のままで太陽光発電が行えるので、節税が行えます。

電気代の削減

2つ目は、電気代の削減ができることです。

発電した電気は売ることはもちろんできますが、自ら使うことも可能です。

揚水ポンプを使用するような農業形態では、電力を多く使用しますね。

農地で発電した電気を売らずに、自らの農地に利用すれば、電気代の削減が見込めるでしょう。

この電気代の事例として、広島県でネギの栽培を行っている「トペコおばら」が挙げられるでしょう。

トペコおばらは電気を一切売らずにソーラーシェアリングを行っており、電力購入量の25%削減に成功しました。

また、FIT制度を利用せずに完全自家消費型を選ぶ場合、補助金が受けられる可能性があります。

FITを利用して売電を行っていくか、それとも完全自家消費型で売らずに進めるか、考えて判断しましょう。

休耕地の活用

3つ目は、休耕地を活用できることです。

休耕地とは、以前は作物を作っていたものの、過去1年以上耕作をしないで、数年先まで再開予定がない土地のことを指します。

ソーラーシェアリングでは、そういった休耕地を収益性のある土地に変えられます。

こうした使われない土地が収入源として活用できれば、休耕地の増加問題にも貢献できるでしょう。

後継問題

4つ目は、跡継ぎ問題が解消できることです。

現在、農業で得られる収入はあまり高くないと言われています。

兼業農家や高齢の方が中心となり、新しく始めようとする人は少ないです。

しかし、ソーラーシェアリングが広がれば、収入面が安定し、跡継ぎ問題が解決される可能性があるでしょう。

問題点

ここまでメリットを紹介しましたが、次はソーラーシェアリングの問題点に触れていきます。

設置費用が高額になる

まずは設置費用が高額になることです。

先ほど紹介したように、ソーラーチャージャーの場合、架台を設置する必要があります。

また、野立ての太陽光発電よりも高い位置に設置するため、費用がかかります。

さらに、パネル清掃などのメンテナンスを行う際は足場を組む必要があり、通常よりもお金がかかります。

野立てと同じ面積であっても、費用がより発生するでしょう。

一時転用のリスク

次は、一時転用のリスクがあることです。

ソーラーシェアリングを行うのに欠かせないのが一時転用です。

条件を満たせば10年更新、満たさなければ3年更新を行う必要があります。

そして、更新時に条件を満たしていなければ、農業ができる状態にまで原状回復することが求められます。

人によっては売電収入ばかりに注目がいき、農業として成立していないこともあるので、注意しましょう。

ノウハウ継承が難しい

続いては、ノウハウ継承が難しいことがあります。

ソーラーシェアリングは20年以上にわたって行われ、その期間、農業と太陽光発電を両立する必要があります。

途中で世代交代を考えている場合、そのノウハウを継承しなければいけません。

どちらか一方だけでは成り立たないので、人によっては難しいです。

通常の太陽光発電より融資がおりにくい

最後は、通常の太陽光発電より融資がおりにくい可能性があることです。

ソーラーシェアリングは、野立ての太陽光発電に比べて、初期費用がかかります。

そして費用回収にも多くの時間がかかります。

そのため、ローンを組む際に通常よりも融資がおりにくいことが考えられます。

農業の分野でしっかりとした収入基盤があることをアピールしましょう。

ソーラーシェアリングの将来は明るい!

今回はソーラーシェアリングについて紹介しました。

ソーラーシェアリングは現在環境問題や休耕地の問題から注目度が上がっています。

ただ、問題点もあるので、それらを踏まえた上で導入を検討していきましょう。

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この記事の監修者

中田 萌

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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