蓄電池とバッテリーは何が違う?蓄電池の種類や特徴を徹底解説!
「蓄電池とバッテリーは別のもの?」
「電池にはどんな種類がある?」
「蓄電池やバッテリーにはどんな種類がある?」
そのような疑問を持っている方にぜひ読んでいただきたい記事です。後ほど解説しますが蓄電池とバッテリーは基本的に同じものです。それを理解するには電池の仕組みの理解が必要です。今回は電池の種類や蓄電池・バッテリーの種類などについて解説します。
目次
電池の種類
電池とは、化学反応や物理反応で放出されるエネルギーを電気エネルギーに変換する装置のことです。電池は大きく分けて化学反応電池と物理反応電池に分かれ、化学反応電池は一次電池と二次電池に分けられます。それでは、電池の種類について詳しく見てみましょう。
化学反応電池と物理反応電池の違い
化学反応で電気を発生させる電池を化学反応電池(化学電池)、物理反応で生じたエネルギーを電気に返還するものを物理反応電池(物理電池)といいます。
化学電池 | 一次電池 | アルカリ乾電池・マンガン乾電池・リチウム電池・酸化銀電池・アルカリボタン電池・空気亜鉛電池 | |
二次電池 | 鉛蓄電池・ニッカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池など | ||
燃料電池 | 燃料となる物質を供給すると発電 | ||
物理電池 | 太陽電池・熱電池・原子力電池など |
今回取り上げる「蓄電池」や「バッテリー」は化学電池の中の二次電池に含まれます。
一次電池とは
一次電池とは、完全に放電してしまったら充電できず使い捨てになる電池のことです。市販されている乾電池は代表的な一次電池です。一次電池には以下のものがあります。
マンガン電池 | 以前からよく使用されている乾電池 コストが安いことから世界的に見て幅広く使用されている |
アルカリ電池 | 欧米や日本で主力となっている乾電池 マンガン乾電池より大容量で電圧が低下しにくい |
リチウム乾電池 | パワーが強く軽いのが特徴 デジカメや大電流の機器などに使用される |
リチウム1次電池 | 高電圧で長時間使用可能 形も多様で多くの場面で使用される |
一次電池の反応は一度起きてしまったら元に戻ることがない「不可逆反応」です。そのため、一次電池は充電しなおすことができず使い捨てになるのです。
二次電池とは
二次電池とは充電して何度も繰り返し使用できる電池のことです。主な二次電池は以下のとおりです。
- 鉛蓄電池
- ニッカド(ニカド)電池
- ニッケル水素電池
- リチウムイオン電池
- NAS電池
それぞれの電池の特徴は後ほど詳しく説明します。
蓄電池とバッテリーの違い
蓄電池とバッテリーは何が違うのでしょうか。そもそも、バッテリー(battery)は電池を意味する英単語であるため、一次電池も二次電池もバッテリーに含まれます。一方、蓄電池は二次電池のことであるため一次電池を含みません。バッテリーという大きなくくりの中に二次電池である蓄電池が含まれると考えられます。
これとは別に、用途の違いがあると考える方もいます。その理由は、日本でバッテリーという言葉は車載用の鉛蓄電池をさす事が多いからです。予備電源やスマホなどの小型モバイル機器の電源のことをバッテリーとよぶことがあります。ここでは充電機に近い意味合いとしてバッテリーという言葉が使われています。
現代の日本では、蓄電池とバッテリーはほぼ同じ意味で用いられます。
蓄電池・バッテリーの種類と特徴
蓄電池・バッテリーにはいくつかの種類があります。今回はその中でも鉛蓄電池・ニッカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池・NAS電池の5つの電池を取り上げ、それらの特徴を解説します。
鉛蓄電池
鉛蓄電池は電極に鉛を使用したもので、世界で最も最初に開発された蓄電池です。鉛蓄電池のメリットは以下のとおりです。
- 電圧が比較的高い
- 鉛が安価であるためコストパフォーマンスがよい
- 寿命が長い
- 安定性が高い
コスト面や寿命、安定性の高さなど多くの面で長所を持つ鉛蓄電池ですが、重量が重いことや充放電を繰り返すことで劣化するという弱点があります。電解液に硫酸を使用しているため、極寒冷地では電解液が凍結し破裂する恐れもあります。加えて、原料として人体に悪影響を与える鉛を使用しているため廃棄する際の環境負荷が高いというデメリットもあります。
主に車載用のバッテリーや非常時のバックアップ用電源として使用されます。
ニッカド(ニカド)電池
ニッカド電池とは、ニッケルとカドミウムを使用した電池のことです。ニッカド電池のメリットは以下のとおりです。
- 急速放電ができる
- 低温でも高出力
- リサイクル体制が確立されている
急速放電ができる長所を生かし、ラジコンやハイブリッドカーのモーターを駆動させるために使用されます。他の電池より低い温度でも性能が維持できる点やリサイクル体制が整っているのもメリットです。
その反面、継ぎ足し充電がしにくい点や人間にとって有害なカドミウムを使用しているといったデメリットがあります。そのため、ニッケル水素電池への置き換えが進んでいます。
ニッケル水素電池
ニッケル水素電池とは、ニッカド電池のカドミウムを水素に置き換えた充電池です。ニッケル水素電池のメリットは以下のとおりです。
- 自己放電率が低い
- 低コスト
- 過充電に強い
ニッケル水素電池は自己放電率が低い電池であるため、長期間使用しなくても電気が減りにくいという特徴があります。コストが低く過充電に強いという特徴もあります。充電タイプの乾電池やハイブリッドカーなどで使用されていますが、他の充電池に比べると寿命が比較的短いという注意点があります。
リチウムイオン電池
リチウムイオン電池とは、プラス極とマイナス極の間をリチウムイオンが往来する電池です。リチウムイオン電池のメリットは以下のとおりです。
- 高電圧・高電流である
- 小型化できる
- 寿命が長い
高性能で小型化できる長所を生かし、スマートフォンやノートパソコンなどの製品で多用されています。使い勝手が良いため急速に普及が進みました。住宅用の蓄電池でもリチウムイオン電池が使用されています。
しかし、過充電や過放電に弱い点や高温になると内部で激しい化学変化が起きて発火する可能性があるなど、使用に注意しなければならない電池でもあります。
電気自動車の普及に伴い、リチウムイオン電池の原材料であるリチウムの需要が急増しています。リチウムの埋蔵量そのものは多いのですが、採掘コストが問題となっています。
現在、リチウムは塩湖などにある「かん水(塩分を多く含む水)」から採取する方法が主流です。その理由は、低コストでリチウムを取り出せるからです。
しかし、リチウムの需要が増大すればかん水だけではなく、鉱石からもリチウムを取り出さなければならなくなるでしょう。そうなれば、採掘コストが上昇してリチウム価格も上がります。
実際、2022年10月にはリチウム価格が史上最高値を更新しています。リチウムの需要増加が続けば、価格が高騰する可能性があります。
NAS電池
NAS電池とは、プラス極に硫黄、マイナス極にナトリウムを使用した電池です。NAS電池のメリットは以下のとおりです。
- 容量が大きい
- 持続時間が長い
- 急速充電が可能
容量が大きいことや急速充電できる長所を活かし、大規模な電力貯蔵施設などで使用されています。しかし、一般家庭での使用は今のところ困難です。その理由は、常温で作動しないからです。NAS電池は300度でなければ作動せず、原料として使用される硫黄やナトリウムも取り扱いに注意が必要な物質だからです。
まとめ
今回は電池の種類や電池とバッテリーの違い、蓄電池として使用されている鉛電池・ニッカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池・NAS電池の特徴を紹介しました。
これらの蓄電池の中で私たちの生活に関わってくるのはリチウムイオン電池です。モバイル機器のバッテリーや住宅用の蓄電池として使用されているため、目にする機会が多い蓄電池といえます。
この記事の監修者
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