V2Hとは?仕組みや価格相場・メリットとデメリットを徹底解説!
電気代節約や停電対策に活躍する「蓄電池」ですが、電気自動車(EV)と「V2H」を組み合わせれば、蓄電池のように運用できることをご存じですか?
家庭用蓄電池よりはるかに大容量な「EVのバッテリー」が活用できる設備として注目を集めるV2H。
一方で、「そもそもどんな設備なの?」「導入にデメリットはないの?」など、気になる点も多いですよね。
そこで本記事では、V2Hの特徴や仕組み、価格相場や活用できる補助金、導入するメリット・デメリットをくわしく解説していきます。
記事の後半では「蓄電池とV2Hならどちらを買うべき?」「テスラはV2Hに対応している?」などのよくある疑問にも回答していますので、興味のある方はぜひご一読ください!
目次
V2Hとは?特徴や価格相場・使える補助金を解説!
まずはじめに、V2Hの特徴や仕組み、2023年の価格相場や活用できる補助金制度について解説していきます。
【特徴】EVのバッテリーを蓄電池として代用できる
V2H(Vehicle to Home)とは、EVと家の分電盤をつなぐ設備のことであり、EVのバッテリーを蓄電池の代わりとして活用できるシステムとして人気を集めています。
いままでは家庭からEVには「充電」のみが可能でしたが、V2HがあればEVバッテリーで家電を動かせるようになるため、以下のような用途で大活躍します。
- 深夜プランでお得にEVに充電し、休日の昼間の電気代を節約する
- 突然の長期停電でも、EVの豊富なバッテリーでエアコンなどが使える
- 太陽光発電とEVをV2Hで接続すれば、電気代0円でEVを充電できる
また、V2Hには「家庭用充電器の約2倍の速さで充電できる」「蓄電池より導入コストが安い」といった特徴もあり、EV所有者にはメリットの大きい設備といえます。
【価格】売れ筋モデルなら「50万円」以内で買える
2023年におけるV2Hの価格相場は「約50万円〜90万円」ほどと幅広いですが、標準的な機能の売れ筋モデルなら「50万円以下」で購入できるコスパも魅力です。
販売価格はV2Hの性能によって差がついており、たとえば国内No.1のシェアを持つ「ニチコンEVパワー・ステーション」なら以下のように分類されます。
品名 | VCG-663CN3 (スタンダードモデル) | VCG-666CN7 (プレミアムモデル) |
メーカー希望価格 | 49万8,000円 | 89万8,000円 |
充電ケーブル長さ | 約3.7m | 約7.5m |
EVから家庭への給電出力 | 101V / 3,000W | 202V / 6,000W |
保証期間 | 2年 | 5年 |
塩害地への設置 | 不可 | 可 |
スマホアプリでの操作 | 非対応 | 対応 |
どちらも「EVから家庭への給電」はできますが、200V出力に非対応な下位モデルでは停電中にエアコンなどが使えないため、より快適さを求めるならプレミアムモデルがおすすめです。
【補助金】2023年は最高「115万円」の補助金を交付!
残念ながら2023年の補助金交付は5月22日をもって終了してしまいましたが、最高「115万円」ものサポートが受けられる制度として話題となりました。
2024年も同様の補助金制度が実施される可能性は充分にありますので、金額や申請条件などを以下の表で確認しておきましょう。
補助金の名称 | 令和4年度補正 及び 令和5年度 クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金 |
補助金額 | 設備費…購入費の50%(上限75万円) 工事費…100%(上限40万円) |
申請期間 | 2023年3月31日〜10月31日 |
申請条件 | 次世代自動車振興センターが指定するV2Hを購入すること |
今年のV2H補助金は「わずか2か月足らず」で締め切られるほどの人気でしたので、来年に補助金を利用したい方は、できるだけ早く申請することをおすすめします。
V2Hの設置前に要確認!メリット・デメリットを徹底比較
つづいて、V2Hを実際に設置する前に確認しておきたい「設置のメリット・デメリット」をくわしくご紹介していきます。
【メリット①】電気代の節約効果が高い
V2Hを導入する最大のメリットは、「深夜プラン」などの電気代が安い時間帯にEVを充電し、昼間に家電を動かすことで大幅に請求額を節約できることです。
たとえば、東京電力の「夜トク8プラン」の深夜料金は昼間より「約3割」も安いため、EVのバッテリーを使えば使うほど電気代の削減につながります。
また、V2Hを設置すれば太陽光発電からEVへの充電も可能となるため、外出していない日中に蓄えた電気を夜間に家で使用したり、EVのエネルギーとしても活用できます。
【メリット②】停電対策として「蓄電池」より優秀
V2Hのもうひとつのメリットは、台風や地震などの自然災害による停電対策として、家庭用蓄電池より役立つ場面が多いことです。
蓄電池は残量がなくなると停電対策として使えなくなりますが、V2HとEVを併用すれば近所の「充電スポット」でチャージした電気も家庭で使えるため、長期停電でも安心です。
さらに、5kWh〜15kWhほどの容量しかない蓄電池に比べ、EVバッテリーは「40kWh〜75kWh」と非常に余裕があるため、停電中でも電池切れを心配せずに家電が使えます。
また、V2Hは蓄電池より導入コストが大幅に安い点も見逃せないメリットです。
すでにEVをお持ちの方なら、蓄電池よりV2Hの方が気軽に設置できる設備といえるでしょう。
【デメリット①】外出中は停電対策ができない
V2Hの気になるデメリットは、EVで外出している時間は停電対策や電気代節約など、V2Hの便利機能が利用できないことです。
通勤などでEVを利用している方は突然の停電に対応できないため、自然災害の多い地域などではV2Hに不便さを感じてしまうかもしれません。
一方で、日中の電気使用量が増えがちな休日はEVも家にあるケースが大半ですので、平日の外出が多い家庭でも、V2Hの導入で電気代の節約につながる事実は変わりません。
「EVが外出中の昼間は太陽光発電を活用する」「小型の蓄電池を補助電源として使う」など、他の設備を組み合わせることでもデメリットは解決できるでしょう。
【デメリット②】EVのバッテリー劣化が早まる
V2Hの注意すべきデメリットは、過度な充電・放電を繰り返すと、EVのバッテリー性能の劣化を早める可能性があることです。
V2Hを設置してEVを蓄電池の代わりとしてフル活用すると、そのぶん充放電の回数が増えてしまうため、結果的に劣化が進む原因となってしまいます。
EVに搭載されているバッテリーは耐久性・性能ともに高いため、V2Hの活用で深刻な劣化を招くケースはほとんどないものの、できるだけEVを長持ちさせたい方には不向きかもしれません。
蓄電池よりおすすめ?V2Hでよくある「2つの質問」に回答!
さいごに、「V2Hは外車でも使える?」「蓄電池よりおすすめ?」といった、導入時によくある質問に回答していきます。
【質問①】V2Hはどんな車種に対応している?外車でも使える?
そもそもV2Hは日本で開発されたシステムのため、国産EVのほぼすべてに対応していますが、「テスラ」「ヒョンデ」など一部の外国製EVには非対応です。
以下に、国内No.1の売上を持つニチコンV2Hの対応車種の一例をご紹介します。
メーカー名 | 対応車種 |
日産 | リーフ アリア サクラ |
三菱 | eKクロス エクリプスクロス アウトランダーPHEV |
トヨタ | プリウスPHV MIRAI LEXUS RZ450e |
ホンダ | Honda e |
スバル | SOLTERRA |
メルセデス・ベンツ(ドイツ) | EQSシリーズ EQEシリーズ |
BYD(中国) | e6 J6 |
国内でも人気の「テスラ・モデル3」や「ヒョンデ・アイオニック5」などの車種は現在非対応のため、V2Hを検討する際には注意が必要です。
【質問②】蓄電池とV2Hならどちらがおすすめ?
結論から言えば、EV所有者および検討中の方にはV2Hを、それ以外の方には蓄電池の導入をおすすめします。
EV所有者にV2Hがおすすめな理由は、蓄電池より導入コストが大幅に安く、停電対策としても大容量バッテリーが使えるV2Hの方が優秀だからです。
一方で、EVを購入する予定のない方にとっては、EVとV2Hを買うより蓄電池だけの方が安く済むため、あえてV2Hを選択するメリットは少ないでしょう。
まとめ:V2HはEV所有者にとって経済的メリットが非常に大きい
家庭用蓄電池の数倍の容量を持つEVバッテリーで家電が動かせるV2Hは、高騰する電気代対策としても、毎年起こり得る停電対策としても活躍する便利な設備です。
スタンダードモデルなら「50万円以下」で買えるコスパの高さもV2Hの魅力であり、蓄電池の高額な初期費用でお悩みの方にも最適な選択といえます。
残念ながら2023年の申請は終了しましたが、来年も「上限100万円」を超える補助金が交付される可能性は高いですので、ぜひ今から購入を検討してみてくださいね!
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
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