11年目以降の太陽光発電は売電より自家発電がお得!
太陽光発電設備を設置してから10年間は、電力会社が余剰電力を決まった価格で必ず買い取ってくれるFIT制度があります。
10年間の買取期間が過ぎた太陽光発電設備のことを卒FIT設備などといいます。
11年目以降の卒FIT設備はどのように扱えばよいのでしょうか。
今回はFIT制度についておさらいしつつ、11年目以降の3つの選択肢や自家発電が有利な理由、11年目以降の設備についての注意点などについて解説します。
目次
FIT(固定価格買取制度)とは
FIT制度とは太陽光発電・風力発電などで生み出された再生可能エネルギーを一定の価格で買い取ってくれる制度です。
ここでは太陽光発電に絞って話を進めます。
買取期間は10kWh以上が20年間、10kWh未満が10年間です。
家庭用の大半が10kWh未満ですので、買取期間は10年間と考えてよいでしょう。
買取価格は年々低下しています。
直近3年間で見ても2021年度が1kWhあたり19円、2022年度が17円、2023年度が16円です。
制度が始まった2012年の買取価格の42円と比べると買取価格が半額以下になっていることがわかります。
11年目以降の選択肢
家庭向けのFIT制度の期間が10年であるため、11年目以降にどうするか考える必要があります。
選択肢は売電、売却・処分、自家発電設備として活用の3つです。
売電を継続する
FIT制度が終了しても、太陽光発電設備が生み出した余剰電力は電力会社が買い取ってくれます。
しかし、買取価格は大幅にダウンします。
2013年にFIT制度をスタートさせた場合、買取価格は1kWhあたり38円でした。
この買取価格は2023年まで継続します。
ところが、2023年に10年間の再契約をすると1kWhあたり16円となります。
買取は継続するものの、大幅な収入減は避けられません。
買取価格を少しでも上げるには、国の決めた価格よりも高く買い取ってくれる電力会社と契約する必要があります。
新電力会社の一部には固定価格にプレミアムを載せて高めに買い取ってくれるところもありますので、探し出して契約することも可能です。
太陽光発電施設を売却・処分する
すでに設置している設備を売却・処分するのも一つの方法です。
ただし、設備の状態によっては買い取ってもらえない可能性がありますので注意しましょう。
撤去する場合は撤去代金と運搬費用が必要です。
パネルの枚数にもよりますが、撤去費用は15万円前後と見積ることができます。
屋根が劣化している場合は撤去後に修理が必要です。
修理費用は10〜30万円程度と考えられます。
したがって、撤去の合計費用は30〜50万円程度と想定されます。
設備や屋根の状態で費用は増減しますので、専門業者の見積もりを取ってから考えたほうがよいでしょう。
自家発電設備として活用する
卒FIT設備は売電しても収入が下がってしまい、設備を処分するには高額な費用がかかるといった問題を抱えています。
両者を解決するには、卒FIT設備を自家発電用として利用するのがベストです。
売電用の設定をしている設備であっても、自家発電用に切り替えることが可能です。
自家発電のメリットは、この後詳しく説明します。
11年目以降の卒FIT設備は自家発電がお得
先ほど、卒FIT設備は自家発電がベストといいました。
なぜ、自家発電がお得なのでしょうか。3つのメリットを解説します。
電気代を削減できる
1つ目のメリットは電気代を削減できることです。
記録的な円安とウクライナ戦争などが原因で起きた資源高が原因で天然ガスなどのエネルギー資源の価格が高騰しました。
そのため、電気料金の値上げが相次いでいます。
太陽光発電で生み出した電力を自家消費で使用すれば、その分、電気を電力会社から買う必要がなくなり、電気代を削減できます。
電気代の先行きが不透明な時ほど、自家発電は効果を発揮してくれるでしょう。
蓄電池や電気自動車の充電に使用できる
2つ目のメリットは蓄電池や電気自動車の充電に使用できることです。
太陽光発電のデメリットは、夜間に発電できないことです。
そのため、夜は電力会社から電気を買う必要があります。
しかし、蓄電池があれば昼間に蓄電することができます。
その電気を夜間に使用すれば夜間も電気を購入せずに済みます。
自宅にV2H設備があれば対応する電気自動車を大容量蓄電池として利用することも可能です。
発電量次第では自宅で使用する電気の全てを太陽光発電で賄うことも可能となるでしょう。
非常用電源として活用できる
3つ目のメリットは災害時などの非常時に電源として活用できることです。
大地震や台風などの広域災害が発生すると、自宅のある地域が罹災していなくても送電線の寸断などで停電になることがあります。
2011年の東日本大震災では震源から比較的離れた青森県・秋田県でもほぼすべての地域で停電となりました。
また、2018年の胆振東部地震では震源地だけではなく北海道全域が停電となるブラックアウトも発生しています。
非常事態で効果を発揮するのが太陽光発電です。
発電設備が無事で発電できる状態であれば、停電になっても電化製品を動かせます。
蓄電池があれば夜間も電気を使用できるので非常に心強いです。
東日本大震災では3日後に約80%の地域で停電が解消されましたが、約94%まで回復するのに8日を要しています。
胆振東部地震ではブラックアウトが11時間続き、北海道電力が復旧宣言をしたのは約64時間後でした。
大規模災害が発生すると数日から1週間、停電が続くことがわかります。
こうした事態への備えとして、太陽光発電は極めて有効です。
11年目以降の太陽光発電設備に関する注意点
11年目以降の卒FIT設備は自家発電用として活用するのがお得です。しかし、設置してから丸10年が経過していることを忘れてはいけません。
ここでは、卒FIT設備を使用する際の注意点について解説します。
パワコンの故障に備えなければならない
太陽光発電設備はパーツによって寿命が異なっています。太陽光パネルの寿命が20年前後とされているのに対し、パワーコンダクター(以下、パワコン)の寿命は10〜15年です。
パワコンの不具合が発生すると発電量が急激に低下したり、発電不能といった事態に陥ります。寿命を迎えたパワコンは交換しなければなりません。
パワコン交換費用は工事費込みで30〜40万円が相場です。
他の部品交換が必要な可能性もあるため、修理業者に見積もりを出してもらってから工事を行いましょう。
また、費用が高額ですのですぐに用意するのは難しいかもしれません。日頃からパワコン交換費用を積み立てておくのがベストです。
こまめなメンテナンスが必要
こまめにメンテナンスを行うことで発電設備の寿命を延ばせます。点検頻度は3〜4年に1度で、費用の相場は3万円弱です。
太陽光パネルの洗浄も必要です。基本的に雨で汚れを落とせるように作られていますが、経年劣化すると汚れが取れにくくなるのは否めません。
個人で洗浄するのは転落等のリスクがあるため、業者による洗浄をおすすめします。
まとめ
今回はFIT期間が終了したいわゆる11年目以降の太陽光発電設備(卒FIT設備)について解説しました。
卒FIT後の設備をどうするかについては売電、売却・廃棄、自家発電の3つの選択肢があります。
電気代の高騰が今後も続く可能性があるため、3択の中では自家発電がおすすめです。
なぜなら、自家発電には電気代の削減効果や非常時の備えとしての有効性があるからです。
安易に廃棄を決めてしまう前に、自家発電として活用できるかどうか、検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者
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