新築住宅に蓄電池を設置するときの容量は?メリットも徹底解説!
災害対策や経済的なメリットを考え、蓄電池に関心を持つ人が増えています。
家庭用蓄電池の設置台数も年々増えていることからも関心の高さがうかがえます。
どうせ設置するなら、新築時に一緒に設置したいという方もいるのではないでしょうか。
今回は蓄電池に関する国の施策や蓄電池の容量、新築時に蓄電システムを導入するメリットやネックとなる初期費用、補助金などについて解説します。
目次
国は蓄電システムを重視
2020年以降、国は蓄電システムに関連する施策を検討・実行しています。
2020年度には蓄電システムの目標を設置し、翌年には蓄電池を「新たなエネルギー基盤」とするグリーン成長戦略の策定を行いました。
さらに2022年には蓄電池をカーボンニュートラル実現のための重要なインフラであるとして蓄電池産業の基本戦略を策定しています。
政府は2030年度に向けて家庭用蓄電池の価格目標を工事費込みで1kWhあたり7万円とし、35万台の導入を目指します。
これにより、最大で2万1千人の雇用を生み出すとしています。
蓄電池の容量はどのくらい必要?
蓄電池を設置する際の容量の目安は、自宅で使用する電力量によってきまります。
電力量は消費電力×使用時間で求められます。
たとえば、40Wの蛍光灯を10時間使用すれば、40×10ですので400Whの電力量を消費します。
停電になった時にどの家電製品を使用するかシミュレーションすることで、停電時に必要な電力量を割り出せるでしょう。
ここでは、東京電力が公表している「家電製品の消費電力」を目安として、蓄電池容量について考えてみましょう。
最小限の機器を動かすなら3~5kWh
停電時に必要な最小限の家電といえば、冷蔵庫、リビングの照明、テレビなどではないでしょうか。
東京電力の目安を活用すると、450L冷蔵庫は250W、リビング照明は蛍光灯で40W、LEDなら10W、テレビの消費電力は液晶で210W、プラズマで490Wとなっています。
参考:東京電力
合計すると1090W(液晶テレビの場合)となります。
これを1時間使用すれば1090Wh(1.09Wh)となります。
数時間程度の停電であれば、3〜5kWhの蓄電容量で十分対応できます。
一般的な容量は5~7kWh
普段と変わらない生活を送りたいのであれば、エアコンやIH調理器などの使用も考慮しなければなりません。
10畳用エアコン(冷房時)は580W、IH調理機は2000Wの電力消費を見込まなければなりません。
そうなれば、最小限よりも1ランク上の容量である5〜7kWhの容量が必要となるでしょう。
自家消費を意識するなら10kWh前後
非常用の電源としてだけではなく、太陽光発電と組み合わせることを考えるなら、できるだけ容量が大きい蓄電池がおすすめです。
昼間に発電した余剰電力をできるだけ多く蓄電し、消費量が増える夜間のために取って置くことができるからです。
蓄電容量が少ない場合、夜間に使用する電力量をカバーできない可能性があります。
そうならないために、余裕をもって容量を確保しておいた方がよいでしょう。
資金に余裕があれば、最も大きい10kWh前後の蓄電池を購入し、ゆとりをもって電気を使用できる環境を整えるとよいでしょう。
新築時に蓄電システムを構築するメリット
蓄電池を設置するタイミングは新築時、太陽光発電設備の設置時、卒FIT設備を活用するときなどです。
今回は新築時に蓄電システムを導入するメリットを解説します。
住宅設計に最初から蓄電システムを盛り込める
最初から蓄電システムを住宅設計に盛り込めることは大きなメリットです。
後付けで設置することに比べると、最初から盛り込んだ方がスムーズに設置ができます。
住宅内の電気系統を整えるときも、蓄電システムを前提とした設計にできるので効率的です。
加えて、太陽光発電と同時に購入・設置すれば、パワーコンディショナーを1つにまとめることもできます。
パワーコンディショナーが1つにまとまることでエネルギーロスを減らす効果が期待できます。
住宅ローンと一緒にローンが組める
太陽光発電設備や蓄電池の導入にはかなりの予算が必要となります。
蓄電池単体でも1kWhあたり14.9万円(5〜10kWh未満)、太陽光発電の設置コストが1kWhあたり26.1万円となります。
5kWhの蓄電池と5kWhの太陽光発電設備を導入すれば、74.5万円+130.5万円で合計205万円となります。
参考:資源エネルギー庁
新築住宅を建てるときであれば、太陽光発電や蓄電池に関する費用も建築費と一緒にローンを組めるため、返済期間や金利の面で通常の動産ローンよりも有利になることが多いのです。
ただし、住宅ローンと一緒に組めるかどうかは金融機関の判断によりますので、事前に問い合わせて調べたほうがよいでしょう。
ZEHの補助金が加算される
ZEHとは消費する電力が発電量と同じかもしくは下回る住宅のことです。
国は低炭素社会実現のため、ZEHの普及を進めています。ZEHの条件は太陽光発電設備の設置や省エネ設備の設置、高い断熱性能などです。
これらの条件に加え、蓄電池を設置する以下のうち最も少ない金額が補助金として交付されます。
- 1kWhあたり2万円
- 補助対象経費の3分の1
- 20万円
ZEH補助金そのものが1戸あたり55万円から100万円ですので、かなり大きな金額となります。
蓄電池のネックは初期費用
新築時に蓄電システムを構築すると設計面や住宅ローン、ZEH補助金の面で大きなメリットがあるとわかりました。
しかしながら、初期費用負担はかなり大きなものがあります。
三菱総合研究所が経済産業省に提出したデータによると、蓄電システムが5kWh未満の場合は1kWhあたり16.5万円、5~10kWhの場合は14.9万円、10kWh以上の場合は12.5万円のコストがかかるとしています。
出典:経済産業省
3kWhの蓄電池であれば49.5万円、7kWhであれば104.3万円、12kWhであれば150万円の初期費用がかかる計算となります。
かなり大きな費用負担となりますので、住宅ローンの活用やZEH補助金の活用は必須といえるでしょう。
補助金を活用して初期費用を軽減できる
ZEH補助金以外の補助金として地方自治体が設定している補助金があります。
たとえば、東京都では「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」の一環として蓄電池設置の助成金を交付しています。
4kW以上の太陽光発電設備と蓄電池を併設する場合は最大で95万円、4kW未満の太陽光発電設備と併用するか蓄電池のみを設置する場合、最大で120万円(6.34kWh未満のときは95万円)の助成金を交付します。
参考:クール・ネット東京
このほかにも、2023年2月段階で東北エリアで4県、関東エリアで東京含め1都2県、中部エリアで3県、近畿エリアで3県、中国エリアで3県、四国エリアで2県、九州・沖縄エリアで1県で蓄電池に関する補助金を実施しています。
市町村単位で実施していることもありますので、お住まいの都道府県・市町村の助成金・補助金を調べてみることをおすすめします。
まとめ
今回は新築住宅で蓄電池を設置する際の容量や新築時に蓄電システムを構築するメリット、ネックとなる初期費用と都道府県の補助金について解説しました。
最小限の機器を動かすだけでよいなら3~5kWhの蓄電池を、ある程度の機器を停電時でも稼働させるなら5~7kWhの機器、太陽光発電と組み合わせて発電した電力を夜間も使用したいなら10kWh程度の大容量の蓄電池を購入するとよいでしょう。
新築時に蓄電システムを構築すると蓄電池を前提とした住宅設計ができたり、住宅ローンに組み込める可能性があったり、ZEH補助金の加算が受けられたりといったメリットがあります。
それでも費用面に不安があるのであれば、都道府県・市町村の蓄電池補助金を活用してみましょう。
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この記事の監修者
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太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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