ブルーアンモニアとは？グレーアンモニアとの違いや今後の課題を解説

ブルーアンモニアはCO2を回収し、環境に優しいアンモニアです。

主に石炭火力発電の代替燃料として期待されています。

この記事では、グリーンアンモニアとの違いと、ブルーアンモニアの活用事例を紹介します。

ブルーアンモニアとは？用語の定義を解説

「ブルーアンモニア」とは、環境にやさしい新しいエネルギー源として期待されている燃料です。

通常の石油や石炭などの化石燃料は燃焼すると温室効果ガスが発生しますが、アンモニアは燃焼時にCO2を排出しません。

ただし、天然ガスを使ってアンモニアを作る際にはCO2が出るため、環境への影響が懸念されています。

そこで、アンモニア製造時に発生するCO2を取り除き、地下に保存することでCO2を排出しない「ブルーアンモニア」が生まれました。

ブルーアンモニアとグリーンアンモニア・グレーアンモニアの違いは？

似ている言葉ですが、それぞれのアンモニアの特徴について説明します。

	特徴
ブルーアンモニア	製造時に発生したCO2を取り除き、地下に保存しCO2を排出しない
グリーンアンモニア	再生可能エネルギーで作り、燃焼時にはCO2を排出しない
グレーアンモニア	製造時に天然ガスを使うことでCO2を排出する

グリーンアンモニアは水を電気で分解して作られるので、CO2の排出がほとんどありません。

対照的に、グレーアンモニアは作る過程でわずかにCO2が発生します。

ブルーアンモニアは、アンモニアを作る時にできるCO2を特別な方法で取り除いて保存するので、環境への影響が少ない方法です。

ブルーアンモニアが期待されている理由

ブルーアンモニアが世界的に注目を浴びている理由はいくつかあります。

それぞれの理由について詳しく紹介します。

二酸化炭素を排出しない燃料

ブルーアンモニアは代替燃料として注目されています。

これまでの石油や石炭などの化石燃料は燃焼により大量のCO2を排出し、地球環境に悪影響を与えています。

そのため、CO2を排出しないクリーンなエネルギーへの需要が高まっています。

ブルーアンモニアは、製造時のCO2を特殊な方法で回収・貯留するので、使用時にはほぼゼロのCO2排出が期待されます。

そのため、クリーンで環境に優しいエネルギー源として、ブルーアンモニアは注目を集めています。

アンモニア発電が可能になる

ブルーアンモニアを使うことでアンモニア発電が可能です。

アンモニア発電は、アンモニアを燃やしてできた熱エネルギーを使って電気を発生させる方法で、水素発電よりもコストが抑えられています。

通常のアンモニアと異なり、ブルーアンモニアは製造時に発生するCO2を特別な方法で取り除いて保存します。

このため、アンモニアを使った発電は環境にやさしく、持続可能なエネルギー選択肢となります。

水素の輸送手段として有効

水素は将来のエネルギー源として注目されていますが、大量の水素を輸送するのは難しいという課題があります。

そこで、注目されているのがブルーアンモニアです。

ブルーアンモニアは水素と窒素からできており、既に安全な輸送手段として有効です。

これを使うことで、水素の輸送の難しさに対処することが期待されています。

エコな未来を切り拓く！ブルーアンモニアのメリットとデメリット

ブルーアンモニアのメリットとデメリットを表にまとめました。

メリット	デメリット
使用時のCO2排出がゼロに近い 液体として運搬しやすく、保管も手軽 既存の輸送インフラを利用できる	製造時のエネルギー量が多い 製造と利用に高額な費用がかかる 商業利用においては技術の未熟さが課題

最も重要なメリットは「輸送インフラの活用」です。

これは、既存の輸送システムを使ってアンモニアを運ぶことができ、すでにアンモニアを扱う経験のある企業や地域のネットワークを最大限に利用できます。

対照的に、大きな問題となるデメリットは「高いコスト」です。

これが導入を妨げる主因であり、コスト削減と生産性・エネルギー利用効率の向上が求められています。

ブルーアンモニアを取り入れる企業の活用実績

ブルーアンモニアを取り入れる企業の活用事例を表でまとめてみました。

企業	活用事例
三井物産株式会社	日本向けに製造されたブルーアンモニアを輸出する計画を進行中
株式会社INPEX	ブルーアンモニアの一貫製造・利用実証試験を実行中
三菱重工業株式会社	ブルーアンモニアおよびブルー水素生産事業の展開を支援
伊藤忠商事株式会社	ブルーアンモニアの日本への輸入プロジェクトを始動
九州電力株式会社	国内外の異なる分野の企業との協業関係の構築を進行中
三菱商事株式会社	ブルーアンモニアの製造設備や共有の出荷設備の建設を検討
出光興産株式会社	ブルーアンモニアの国際輸送実証試験を実施
株式会社JERA	石炭火力にアンモニアを混ぜて燃焼する実証実験を実施
東洋エンジニアリング株式会社	ブルーアンモニアのバリューチェーン構築のプロジェクトを進行中

（引用元：日本経済新聞社：企業一覧）

 

ブルーアンモニアを扱う登録企業は、全部で9社あります。

ブルーアンモニア関連の企業が増える可能性は、市場が広がったり技術が進歩したりする可能性があります。

新しい需要が出てくれば、業界がますます発展していくかもしれません。

ブルーアンモニアの今後の課題

ブルーアンモニアの今後の課題について、改善策も含めて説明します。

製造コストや利用時の負担を減らす

ブルーアンモニアのコストを減らすためには、製造方法や設備の技術を進化させ、効率を向上させることが大切です。

これには新しい製造技術の研究や導入が必要です。

同時に、政府や企業が製造や利用時の費用を軽減するための補助金や助成金を提供することが、ブルーアンモニアの普及を促進する手段となるでしょう。

供給量が不足していること

現在、ブルーアンモニアの供給がまだ十分ではありません。

技術が進化途上で商業生産が本格的に行われていないため、製造・供給の体制も整備途中であり、需要を満たしていない状態です。

これを解決するためには、製造・供給インフラの整備や技術の進化、商業生産の促進が必要です。

将来的には供給量が増加し、需要に十分に対応できる状態が期待されます。

個人向けでおすすめのクリーンエネルギーは？

ブルーアンモニアの取り組みは、主に企業が行っており、一般の個人が主体で取り組むことはほとんどありません。

そこで個人向けにおすすめのクリーンエネルギーは、以下の4つです。

	仕組み	メリット	注意点
太陽光発電	太陽光パネルを使用して太陽からの光を電力に変換する	環境にやさしく、導入後のランニングコストが比較的低い	太陽の当たり具合に左右されるため、天候による影響がある
風力発電	風車や風力タービンを使用して風のエネルギーを電力に変換する	持続可能で、風の強い地域では効果的	風がないと発電が不足することがある
地熱発電	地下の熱を利用して発電する	定常的に安定した発電が可能で、一定の地域では非常に効率的	一部の地域でしか利用が難しい
バイオガス発電	有機物を発酵させて発生するガスを利用して発電する	有機廃棄物のリサイクルと同時にエネルギーの生産が可能	生ゴミや動植物由来の原料が必要

太陽光や風力は、天気や風があるかぎりエネルギーを生み出せたり、地熱は地下の熱を使って発電できたりします。

また、バイオガスは有機物を使ってエネルギーを作り出す方法で、リサイクルにもなりますよ。

自分の環境に合わせて、地球にやさしいエネルギーを選びましょう。

ブルーアンモニアでCO₂フリーに！個人も再エネ設備で挑戦しよう

今回はブルーアンモニアとグレーアンモニアの違いを紹介しました。

ブルーアンモニアは再生可能エネルギーを使って作られ、地球にやさしいエネルギーです。

将来的にはブルーアンモニアの利用が増え、地球への影響を軽減する一助になる可能性があります。

ただし、ブルーアンモニアの導入は主に企業が進めており、個人向けにおすすめのクリーンエネルギーとしては、手軽な太陽光発電があります。

興味があれば、太陽光発電の導入を検討してみるのも良いでしょう。

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