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固定価格買取制度をわかりやすく解説!概要から問題点まで紹介

太陽光発電 2024年01月04日更新

固定価格買取制度という言葉は、太陽光発電や蓄電池などの導入について調べていると必ず目にしますよね。
しかし、
FIT再エネ賦課金などさまざまな言葉が出てくるのでいまいちどんな意味なのか理解していない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、固定価格買取制度をわかりやすく解説します!
仕組みや歴史のほか、固定価格買取制度と一緒に耳にする言葉についても解説するので、太陽光発電などによる売電を考えている方はぜひご覧ください。

固定価格買取制度とは

固定価格買取制度とは、「再生可能エネルギーを国が決めた一定の価格で買い取ることを義務付けた制度」のことです。
そのため、電力会社は経営状況などに関わらず電力を国が決めた価格で買い取らなければいけません。

この固定価格買取制度は、FIT(Feed-in Tariff)とも呼ばれています。
制度自体は2012年7月から開始され、2017年の制度改正によって価格や条件の見直しが行われました。

固定価格買取制度をわかりやすく解説

ここからは、固定価格買取制度を次の3つの項目に分けてわかりやすく解説します。

  • 仕組み
  • 対象となる再生可能エネルギー
  • 歴史

言葉だけ聞くと難しく感じますが、この3項目を知ることで固定価格買取制度の概要を理解することができますよ。

固定価格買取制度の仕組み

固定価格買取制度の仕組みは、以下の図のようになっています。

出典:中部電力ミライズより

固定価格買取制度には、電力会社・電力を扱う家庭や会社、そして電気を利用する全ての国民が関係しています。

電力会社は、売電したい家庭や会社から固定価格買取制度で定められた価格で電力を買い取ります。

そして、電力会社が購入にかかった費用は国民から「再エネ賦課金」として集めることで賄い、最終的には賦課金の回収・分配を行う費用負担調整機関に納められるという仕組みです。

固定価格買取制度の対象となる再生可能エネルギー

固定価格買取制度の対象になる再生可能エネルギーは、次の5つです。

固定価格買取制度の対象となる再生可能エネルギー一覧

エネルギー名

発電源

特徴

太陽光発電

太陽光

  • 設置場所の制限が少ない
  • 送電設備のない場所でも設置できる

風力発電

風力

  • 風さえあれば夜中でも発電可能
  • 電気エネルギーへの変換率が高い

水力発電

水力

  • エネルギー供給が安定している
  • 初期費用が高い

バイオマス発電

バイオマス燃料

  • 燃料不足になりにくい
  • 大気中の二酸化炭素を増やさない

太陽光発電以外は設置費用が高く設置場所が必要なので、中々家庭での導入は難しいでしょう。
そのため、固定価格買取制度が関係する人の多くは、
太陽光発電を使っている家庭といえます。

固定価格買取制度の歴史

固定価格買取制度ができるまでの、変遷は以下のようになっています。

固定価格買取制度ができるまで

制度開始年月

制度名

制度概要

2003/04

電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法

電気事業者に新エネルギーによる電気を一定量以上利用することを義務づけた

2009/09

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律

電気事業者に太陽光発電からの余剰電力を10kW未満48円、10kW以上で24円で買い取ることを義務付けた

2012/07

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(固定価格買取制度)

電気事業者に5種類の再生可能エネルギーの電力を国が定めた一定の価格で買い取ることを義務付けた

2017/04

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)の等の一部を改正する法律

事業計画の申請・設備のメンテナンスの義務化など固定価格買取制度の一部を改正

固定価格買取制度が制定されるまでは、太陽光発電のみの買い取りや買い取りできる対象が限られていたりしていました。
しかし、固定価格買取制度では全ての再生可能エネルギーと家庭・事業者が買い取りの対象になったのです。

2021年現在の買取価格

2021年度の太陽光発電の買取価格は、以下のようになっています。

2021年現在の固定価格買取制度による買取価格

電源

規模

買取価格

2020年度の買取価格

住宅用太陽光発電

10kW未満

19円

21円

事業用太陽光発電

10~50kW

12円+税

13円+税

50~250kW

11円+税

12円+税

250kW以上

入札により決定

電源

規模

買取価格

2020年度の買取価格

陸上風力発電

250kW未満

17円+税

18円+税

陸上風力発電(リプレース)

全規模

15円+税

16円+税

着床式洋上風力発電

全規模

32円+税

入札により決定

浮体式洋上風力発電

全規模

36円+税

36円+税

電源

規模

買取価格

2020年度の買取価格

バイオマス発電(一般木材等)

10,000kW未満

24円+税

24円+税

バイオマス発電(一般木材等)

10,000kW以上

入札により決定

電源

規模

買取価格

2020年度の買取価格

地熱発電

15,000kW未満

40円+税

40円+税

15,000kW以上

26円+税

26円+税

地熱発電(全設備更新型リプレース)

15,000kW未満

30円+税

30円+税

15,000kW以上

20円+税

20円+税

地熱発電(地下設備流用型リプレース)

15,000kW未満

19円+税

19円+税

15,000kW以上

12円+税

12円+税

バイオマス発電(メタン発酵バイオガス)

全規模

39円+税

39円+税

バイオマス発電(未利用材)

2,000kW未満

40円+税

40円+税

2,000kW以上

32円+税

32円+税

バイオマス(建設資材廃棄物)

全規模

13円+税

13円+税

バイオマス(一般廃棄物・その他)

全規模

17円+税

17円+税

電源

規模

買取価格

2020年度の買取価格

中小水力発電

200kW未満

34円+税

34円+税

200~1,000kW

29円+税

29円+税

1,000~5,000kW

27円+税

27円+税

5,000~30,000kW

20円+税

20円+税

中小水力発電(既設導水路活用型)

200kW未満

25円+税

25円+税

200~1,000kW

21円+税

21円+税

1,000~5,000kW

15円+税

15円+税

5,000~30,000kW

12円+税

12円+税

参考URL:経済産業省より

2021年度は、前年に比べて1~2円程度下落していることが分かります。

固定価格買取制度の問題点

次に、固定価格買取制度の問題点を紹介します。主な問題点は、次の3つです。

  • 再エネ賦課金が増加している
  • 買取価格が年々下がっている
  • 固定価格買取制度終了後の利益が少なくなる

再エネ賦課金が増加している

固定価格買取制度の問題点として、国民から集める再エネ賦課金が年々増加していることが挙げられます。
毎年0.3円程度ではありますが国民の負担が増えているため、
買取価格の見直しが必要といわれています。

買取価格が年々下がっている

再エネ賦課金は増加しているにも関わらず、買取価格は毎年下がっています。
導入メリットが少ないと感じ、太陽光発電の導入を躊躇する家庭も少なくありません。

しかし、実際には初期費用も安くなっているため、費用の回収は昔と変わらずできるといわれています。
買取価格の下落は問題点として挙げられますが、
太陽光発電自体のメリットがなくなるわけではないので理解しておきましょう。

固定価格買取制度終了後の利益が少なくなる

固定価格買取制度が終了すると、電力会社がそれぞれ価格を決めるため、利益が少なくなる可能性があります。
たしかに、買取価格が以前より低く、売電収入が少なくなることもあるでしょう。

事前に自分の家庭の料金プランなどを見直し、固定価格買取制度終了に備えることが大切です。

固定価格買取制度と一緒によく聞く2019年問題とは?

固定買取と合わせてよく聞く2019年問題
2019年問題とは、2009年に売電を開始した人が10年間の買取期間終了後にどうなるか知らなかったために起こりました。
買い取り自体は、制度が開始される2012年より前の2009年から行われていました。

最初に売電を始めた人たちが制度終了後の売電の仕組みを説明されていなかったため、2019年以降は「売電ができなくなる」などさまざまな憶測が出て混乱を招いたのが2019年問題です。

固定価格買取制度の概要や問題点を理解しよう

今回は、固定価格買取制度の概要や問題点をわかりやすく解説しました。
2012年から始まった制度で、一定の買取価格を義務づけることで自然エネルギーの普及を促進するものです。

しかし、再エネ賦課金の増加や固定価格買取制度終了後の売電価格の減少など問題点も多くあります。
これから太陽光発電を始める方はこれらの知識を踏まえた上で導入を検討しましょう。

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この記事の監修者

中田 萌

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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